登場から半年、世界の接触者追跡アプリはどう変わったか?
新型コロナウイルス感染拡大を防ぐ有力な手段となった接触者追跡アプリをめぐる状況は刻々と変化している。実質的な義務化に舵を切る国もあれば、批判を受けて透明性の向上に取り組む国もある。 by Bobbie Johnson2020.12.17
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な流行)が始まった早い段階で、多くの国が感染拡大を抑えるために接触者追跡/接触通知アプリを公開した。MITテクノロジーレビューのコビッド・トレーシング・トラッカー(Covid Tracing Tracker、以降、接触追跡トラッカー)の調べによると、一部の有名アプリはプライバシーおよび透明性へのアプローチを変更し始めている。
5月にスタートした接触追跡トラッカーは、世界中の接触者追跡アプリのポリシーおよび安全対策を評価している。また、これらの新しいテクノロジーについて、プライバシーの取り扱いをはじめとした利用方法やポリシーに関する情報を絶えず収集している。複数のアプリが個人データの利用と保存方法に大幅な変更を加えていたことが明らかになったため、接触追跡トラッカーはこのほど各アプリの評価を変更した。
実質的な義務化に舵を切ったシンガポール
シンガポールは、大規模なデジタル接触者追跡システムを世界で初めて導入した国であり、同国の「トレース・トゥギャザー(TraceTogether)」テクノロジーは複数の国に採用されている。当初このプログラムの利用は自発的なものだったが、パンデミックが深刻化して感染者数が増加するにつれ、その性質は変化してきている。
人口560万人のシンガポールでは、国民の45%がトレース・トゥギャザーを利用しており、デジタル入退場記録システムの「セーフエントリー(SafeEntry)」と組み合わせると、人々の動きを監視することが可能だ。政府は12月末までにこれらのシステムの利用義務化を計画している。国民はスマートフォン・アプリまたは …
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