KADOKAWA Technology Review
×
カバーストーリー 無料会員限定
The Chinese News App with 600 Million Users That You’ve Never Heard Of

中国で6億人が利用する
ニュースアプリ今日頭条は
機械学習で記事を選別

6億人のユーザーに、人工知能でニュースを個人別にキュレーションしているアプリの野望は、世界制覇だ。 by Will Knight2017.01.27

今日頭条(読み方:ヂンリー・トウティアオ) の社内には、北京近郊ではなく、シリコンバレーの中心地にいるような雰囲気がある。

壁面はスタイリッシュな落書きで装飾され、ゲームルームやジム、豪華なカフェテリアなど、社員向けによくある特典はすべて揃っている。だが今日頭条がシリコンバレー風なのはそこだけではない。今日頭条が開発している大人気の中国語ニュース収集アプリ「今日頭条」(「頭条」は「見出し」の意味)は、中国国内に約6億人のユーザーがおり、アクティブ・ユーザーは1日6000万人だ。今日頭条の収入の大半は広告で、ユーザーの好みや関心に合わせてカスタマイズされている。

今日頭条の親会社であるバイトダンス(Bytedance)は劇的なスピードで成長してきた。2014年にバイトダンスが募集した資金調達には約5億ドルが集まり、最新の資金調達ラウンドで同社は100億ドル以上の評価を求めていると伝えられている。

今日頭条は2012年に、33歳の起業家、張一鳴(チャン・イミン)によって設立された。今日頭条が成功した主要因は、ユーザーの関心や嗜好を把握するために機械学習を用いたことと、提供内容をカスタマイズした結果、より多くのクリックを獲得したことだ。フェイスブックとツイッターも機械学習で推薦内容を精密に絞り込むが、ソーシャルな結びつきの方が、表示される記事に影響しやすい。

アプリを実行すると、深刻なニュース報道からキュートな映像まで、多くの記事がある。何度もクリックするうちに今日頭条はユーザーの嗜好と関心を学習し、推奨内容を精密に絞り込んでいく。

初めてアプリを起動すると、さまざまな記事が表示される。トップストーリーは今後の経済改革について、次はその日の北京の汚染レベルに関するニュース、さらに人気のお笑い芸人がスモッグについて語る映像が続いた。下の方には、有名女優の情事についての好色譚があり、不思議なことに、生まれたばかりのひな鶏の性別を見分ける方法の記事(田舎の読者を狙ったものだそうだ)もある。

来年、今日頭条は …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中! ひと月あたり1,000円で読み放題
10 Breakthrough Technologies 2024

MITテクノロジーレビューは毎年、世界に真のインパクトを与える有望なテクノロジーを探している。本誌がいま最も重要だと考える進歩を紹介しよう。

記事一覧を見る
気候テック企業15 2023

MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」は、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する、あるいは地球温暖化の脅威に対処できる可能性が高い有望な「気候テック企業」の年次リストである。

記事一覧を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る