KADOKAWA Technology Review
×
「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集中!
バイデン新政権で米国のAI政策はどう変わるか?
Matt Slocum/AP
倫理/政策 Insider Online限定
The Biden administration’s AI plans: what we might expect

バイデン新政権で米国のAI政策はどう変わるか?

米国のバイデン新大統領は、AIとどのように向き合うのか確かなことは何も発表していない。だが、大統領が指名した重要ポストの顔ぶれから、ある程度は予想できる。 by Karen Hao2021.01.27

1月20日、全米が息を殺してトランプ大統領がバイデン大統領に政府の手綱を渡すのを待っていた。そして権力の移転が平和的になされた。その後、バイデン大統領はすぐさま大統領令を連発し、米国に対する新しいビジョンを明確にした。

現在、バイデン大統領が対応を求められている緊急の問題は多岐にわたる。新型コロナウイルス(SARS CoV-2)パンデミックとの戦い、米国民への経済的支援、トランプ時代に定められた気候変動を悪化させる方針の転換、外交問題、移民問題などだ。予想どおりだが、人工知能(AI)に関する問題はまだこのリストの上位には入っていない。しかし新政権がAIについてどう考え、どう扱うかについては、バイデン大統領はすでにいくつかのシグナルを出している。

第一に、バイデン大統領は米科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy:OSTP)の局長を閣僚級の地位まで引き上げ、権威ある遺伝学者のエリック・ランダー教授を局長として指名した。ランダー教授はブロード研究所(MIT-Harvard Broad Institute)の創設所長でもある。科学技術政策局は科学と技術に関する問題について大統領に助言をし、政府内の科学と技術に関する政策と予算配分を監督する。トランプ大統領は主に、AIは地政学的に重要な道具だと考えていた。これはトランプ大統領が中国と競合するために軍事利用目的のAI開発に投資していたことからわかる。対して、バイデン大統領はそれだけでなく、科学の進歩のためにもAIは重要な存在だと考えているようだ。

そのため、防衛以外を目的とするAI研究により多くの予算が投じら …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. AI can make you more creative—but it has limits 生成AIは人間の創造性を高めるか? 新研究で限界が明らかに
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2024 「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集のお知らせ
  3. A new weather prediction model from Google combines AI with traditional physics グーグルが気象予測で新モデル、機械学習と物理学を統合
  4. How to fix a Windows PC affected by the global outage 世界規模のウィンドウズPCトラブル、IT部門「最悪の週末」に
  5. The next generation of mRNA vaccines is on its way 日本で承認された新世代mRNAワクチン、従来とどう違うのか?
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る