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最新スパコンで変わる天気予報、ハリケーンの進路や強さも分かる
米国立気象局は、超高性能なスーパー・コンピューターの導入を予定している。ハリケーンの進路予測、強度予測から、日々の天気予報まで、精度が大きく向上する見込みだ。 by Casey Crownhart2021.11.10
ハリケーン・マイケルは、2018年10月にフロリダ湾岸に上陸した時点で、風速150マイルを超える「カテゴリー5」の暴風雨になっていた。米国立ハリケーンセンターは当初、このハリケーンの強さをその半分以下と予測していた。
- この記事はマガジン「量子時代のコンピューティング」に収録されています。 マガジンの紹介
ハリケーン・マイケルは、短時間で風速を非常に高いレベルまで上げる「急発達(Rapid intensification)」プロセスを経て、あっという間に力を増した。しかし、専門家たちはそれを予測できなかった。
ハリケーン中心部のカオスの動きを予測し、嵐がどのように強まるかを理解するのは、気象予報において現在も大きな課題だ。しかし気象予報の専門家たちは、より優れたモデルとより多くの経験を武器に、今年9月にニューオーリンズを襲ったハリケーン「アイダ」の予測において、急発達の発生を正確に予測することができた。
嵐がいつ、どこに、どのように発生する可能性があるのかを予測する上で、改善に一役買ってきたのが、スーパー・コンピューターだ。米国国立気象局(NWS:National Weather Service)は2台の最新スーパー・コンピューターを2021年末までに導入する予定で、このアップグレードによってさらに正確な気象予測に向けた着実な前進が期待できる。今後、気候変動が激しい嵐の発生を促進することを考えれば、正確な気象予測の重要度はさらに高まるだろう。
米国立気象局は、これらの新しい機械を「現業予報」で使おうとしている。毎晩のニュースで気象予報士が説明するような予測を立てるシステムのことだ。2022年7月前後に気象局による新しいスーパー・コンピューターの精査が完了すれば、デンバーでの降雨可能性から、ハリケーンがマイアミを襲う可能性に至るまで、気象学者がより正確な予測を立てるのに役立つはずだ。
2台のスーパー・コンピューターのうち1台はバージニア州、もう一台はアリゾナ州に設置され、常に互いをバックアップする。コンピューターの大きさは冷蔵庫約10個分で、性能は12.1ペタフロップスに達する。「フロップス」とは「1秒あたりの浮動小数点演算数」を表す。つまり12.1ペタフロップスとは、これらのスーパー・コンピューターが毎秒1京2000兆回を超える計算を実行できる性能だ。現在のシステムに比べ、ほぼ3倍近くとなる非常に大掛かりなアップグレードで、費用は今後10年間で約3億ドルから5億ドルかかる見込みだ。
米国立ハリケーンセンターのハリケーン専門部門のマイケル・ブレナン責任者は、コンピュー …
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