KADOKAWA Technology Review
×
NASA新型ローバーはチームで動く、「分散型」でリスク低減
NASA/JPL
宇宙 無料会員限定
NASA’s new rovers will be a fleet of mobile robots that work together

NASA新型ローバーはチームで動く、「分散型」でリスク低減

NASAは、月や他の惑星を探査するために、自律型の小型ローバー隊を開発している。1台のローバーに問題が起こってもミッションを継続できるうえ、従来のローバーでは行けない場所も探索できるようになる。 by Tatyana Woodall2021.11.04

米国航空宇宙局(NASA)は、連携して問題を解決し、1つのユニットとして意思決定をする小型ローバー(探査車)隊のコンセプトを検討している。1台が故障したり、どこかで立ち往生したりしても、隊の他のローバーが作業を進められるのだ。

「CADRE(Cooperative Autonomous Distributed Robotic Exploration、共同自律分散型ロボット探査)」プロジェクトの一環として、NASAのエンジニアたちは、月や他の惑星を自律的に探査するために、靴箱サイズのコンパクトな移動型ロボットを設計している(ちなみに、火星探査車である「パーサビアランス(Perseverance)」は小型SUVサイズだ)。これらのローバーは、グループとして機能し、クレーターや洞窟など行くのが難しい場所のデータを収集する。

数年後に予定されている実証実験ミッションでは、CADREの小型ローバー隊が月の巨大な溶岩洞を探査することになっている。溶岩洞は、表層の土壌は固まっているものの、その下にはまだ溶岩が流れている。同ミッションでは、小型ローバー隊をランダー(着陸船)に搭載して月まで運び、月面に放出する予定だ。

NASAグレン研究センター(Glenn Research Center)のロボット工学・計算モデリングのエンジニアであるアレックス・シェペルマン博士は次のように述べる。「アイデアはこうです。2台か3台のローバーを送り込めば、そのうちの1台が溶岩洞に落ちるかもしれません。そうなった場合、基本的には、そのローバーが戻って出てくるのは難しいでしょう」。

シェペルマン博士によると、そのローバーが地表に戻ってくることは期待できないが、グルー …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. We finally have a definition for open-source AI 「オープンソースAI」問題ついに決着、OSIが定義を発表
  2. Here’s how people are actually using AI カネにならない生成AIブーム、LLMはどう使われているか?
  3. The US physics community is not done working on trust 物理学界で繰り返される研究不正、再発防止には何が必要か
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る