アメリカ先住民のための暗号通貨「マザコイン」開発者の夢
暗号通貨「マザコイン」を立ち上げたハリスは、アメリカ先住民のための主権通貨システムを構築するという夢を抱いている。通貨は立ち上げ以来、浮き沈みを繰り返しているが、彼の夢は当初よりも明確化しているようだ。 by Tate Ryan-Mosley2022.05.09
パユ・ハリスは、自分の祖母のために暗号通貨を作りたいと考えていた。彼が言うに、すべてのおばあちゃんや、ラコタ(スー)族の居留区に住む先住民の人々のためにそうしたいと考えている。特に、米国サウスダコタ州のパイン・リッジ・インディアン居留地の郊外に住んでいて、電気もインターネットもほとんど使えない貧しい人々のためだという。ハリスは、自分が発案した暗号通貨「マザコイン(MazaCoin)」は、祖母が毎日使えば成功と言えるだろうと主張する。これが実現可能性が低いように思えるのであれば、実際そうだ。実際、マザコインは、ハリスが発案してからずっと、浮き沈みを繰り返してきた。しかし、10年経った今、ハリスの夢は、当初より少し複雑になったとはいえ、より明確なものとなっている。
ハリスが友人から初めてビットコインについて聞いたのは、パイン・リッジ近くのショッピングモールで働いていたときのことだ。それからハリスは、日中はノートPCを立ち上げっぱなしにしてビットコインを採掘し、タバコを吸う合間に取引をチェックしていた。他の多くの暗号資産マニアと同じように、ハリスはビットコインの誇大宣伝にますますのめり込み、休日にはコーディングを学んだり、暗号通貨のホワイトペーパーを読んだりしていた。そしてやがて、「アノニマス・パイレート(AnonymousPirate)」というペンネームで知られるプログラマーとともに、ラコタ民族の亜族であるオグララ・スー族のためのデジタル通貨の取り組みである「オヤテ・イニシアチブ(Oyate Initiative)」を立ち上げた。ハリスは、部族の居留地に自立した経済を提供しようと熱心に取り組んだ。
2013年のフォーブス誌に掲載された記事の中で、ハリスはオヤテ・イニシアチブを 「ナード(おたく)の復讐」と呼んでいる。100年以上前のウーンデッド・ニー虐殺事件により荒廃したラコタ族などの先住民グループは、居留地制度の初期から、独自の先住民通貨を構築 …
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