米バイデン政権が「AI権利章典」を発表、テック企業に説明責任
人工知能(AI)の悪影響から保護するため、バイデン大統領は5項目で構成されるAI権利章典を発表した。市民団体、テック企業の双方から歓迎の声が上がる一方、強制力を持たないため効力を疑問視する声もある。 by Melissa Heikkilä2022.10.07
ホワイトハウスは、人工知能(AI)が説明責任を果たす時代がやってきたことを、米国民に知ってもらいたい考えだ。
バイデン大統領は10月4日、「AI権利章典(AI Bill of Rights)」を発表した。そこには、AI時代に米国民が受けるべき「5つの保護原則」の概要が記されている。
世界最大手のテック企業やAI企業の本拠地である米国は、AIによる危害から国民を守る方法について明確な指針を示していない欧米諸国の1つだ。バイデン大統領は過去にプライバシー保護の強化を求め、テック企業に対してデータ収集をやめるよう主張してきた。
今回の発表は、AIに説明責任を持たせるために、政府、テック企業、国民がどのように協力すべきかというホワイトハウスのビジョンを示すものだ。しかし批評家は、この青写真には抜け穴があり、米国はAIに関してさらに強固な規制が必要だと述べている。
9月にバイデン政権は、技術の説明責任と改革についての基本原則を発表した。これには、差別的なアルゴリズムによる意思決定の停止、テクノロジー分野における競争の促進、連邦政府によるプライバシー保護の提供などが含まれている。
AI権利章典のビジョンは、科学やテクノロジーに関して大統領を補佐する米国政府機関である科学技術政策局(OSTP)が、1年前に初めて発表した。政府がAIに関する基本的人権を保障するという目標を、いかに達成するかのという青写真を示したものだ。政府機関に実務的なガイダンスを提供し、テック企業、研究者、市民社会にAIの危害から保護されるために必要な行動を呼びかけている。
「AIというテクノロジーは、米国民の生活に実害を及ぼしています。AIはプライバシーに対する基本的権利、差別からの解放、基本的な尊厳といった私たちの中核となる民主主義の価値観とは相容れない危害を及ぼしているのです」。政府高官は記者会見で述べた。
AIは、私たちの社会を一変させる強力なテクノロジーだ。同時に深刻な危害をもたらす可能性もあり、その影響は不釣り合いなほど社会的少数者が被りやすい。例えば、警察が使う顔認識テクノロジーや、給付金を配分するアルゴリズムが少数民族に対して正 …
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