KADOKAWA Technology Review
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アンドリュー・エン特別寄稿:イノベーターを志す人たちへ
Nico Ortega
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Andrew Ng: How to be an innovator

アンドリュー・エン特別寄稿:イノベーターを志す人たちへ

グーグル・ブレインを創設し、AI分野でのイノベーションを牽引してきたアンドリュー・エンが贈る、挑戦、失敗、未来についてのアドバイス。 by Andrew Ng2024.01.30

イノベーションは社会を向上させ、経済成長に活気を与えるパワフルなエンジンだ。抗生物質、電球、冷蔵庫、飛行機、スマホ―我々の暮らしの中にこのような機器が存在するのは、イノベーターがそれまでに無かったものをつくったからだ。MITテクノロジーレビューの「35歳未満のイノベーター」リストは、キャリアの早い時期に多くのことを達成し、さらに多くのことを達成すると見込まれる個人を称えるものだ。

何年も人工知能(AI)研究に取り組みAIを活用した製品の開発に費やしてきた私は、大きなインパクトをもたらしたいくつかのイノベーションに携わる幸運を得た。たとえばスタンフォード大学で強化学習を利用してヘリコプター・ドローンを飛ばしたり、大規模な深層学習を推進するためグーグル・ブレイン(Google Brain)を創設・指揮したり、後にコーセラ(Coursera)設立につながるオンライン・コースを作ったりなどといったことだ。上手に取り組み、落とし穴を避け、深刻な害悪につながるようなものをつくらないための私の考えを、少し伝えたいと思う。

AIは現在イノベーションの主要な推進力となっている

以前から述べているように、私はAIが次の「電気」だと信じている。電気はすべての産業に革命を起こして我々の暮らし方を変えた。AIも同じだ。すべての産業や学術領域に進出しており、大勢の人を助けるような進歩を生んでいる。

電気と同様、AIは汎用技術だ。治療法、宇宙ロケット、バッテリー設計などの多くのイノベーションは、単一の目的を追求するものだ。一方、AIはアートを生成する、検索キーワードとの関連度が高いWebページを返す、燃料を節約するように配送経路を最適化する、車の衝突を防止するなど、さまざまなことに活用される。

AIの進歩は、あらゆる産業に携わるすべての人に、AIが自分の領域にも取り入れられるかどうか、どのように応用できるのかを考える機会を作る。それゆえ、AIについて学ぶと、これまで誰もやらなかったことに挑戦する機会が不釣り合いなほど多く生まれる。

たとえば、私が率いるベンチャー・スタジオであるAIファンド(AI Fund)では、これまで海運、人間関係のコーチング、人事、教育、その他の領域にAIを応用するプロジェクトに携わる幸運に恵まれてきた。多くのAIテクノロジーは新技術であるため、ほぼすべての分野にまだ応用できていない。このように、AIの活用方法を知っていれば、他者と協力する機会を多数手にできる。

今後に目を向けると、特におもしろそうなものがいくつか発展中だ。

これらの領域はイノベーターに数多くの機会をもたらす。さらには、その多くはすでにAIに関わっている人だけでなく、広くテックに精通した人の手にも届くものだ。オンライン・コース、オープンソース・ソフトウェア、サービスとしてのソフトウェア、オンライン論文により、学び、イノベーションを始めるためのツールがすべての人の手に入る。しかし、これらのテクノロジーがあなたにとってまだ手の届くものでなくても、広く開かれたイノベーションへの道はほかにもたくさんある。

楽観的に、でも失敗も恐れずに

とはいえ、当初有望と思われたアイデアの多くは不発に終わる。イ …

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