資料を入力、AIが語り出す
ポッドキャスト自動生成の
グーグル新ツールが話題
グーグルの新機能「オーディオ・オーバービュー(Audio Overview)」がネット上で意外な人気を集めている。テキストや動画をアップロードするだけで、AIが自動的にポッドキャストを生成。人間らしい会話と豊かな表現力で内容を解説する。その活用例をいくつか紹介しよう。 by Melissa Heikkilä2024.10.08
「さて、今日は最先端のテクノロジーを詳しく掘り下げていくとしよう」。砕けた調子の米国人男性の声がする。ただし、この声を発しているのは人間ではない。声の源は、「オーディオ・オーバービュー(Audio Overview)」というグーグルの新しい人工知能(AI)ポッドキャストツールだ。このツールが予想外のバイラルヒットとなっている。
Audio Overviewは、およそ1年前にリリースされたAIリサーチ・アシスタント「ノートブックLM(NotebookLM)」の一部として、今年9月中旬に提供が始まった。グーグルの「ジェミニ(Gemini) 1.5」モデルを搭載したNotebookLMは、ユーザーがリンクや動画、PDFファイル、テキストなどのコンテンツをアップロードして関連する質問を投げると、それに回答。コンテンツの短い要約も提供する。
このツールは、「ディープダイブ(Deep Dive)」と呼ばれるポッドキャストを生成する。アップロードした内容について、男性と女性の声で議論するのだ。その声は息をのむほどリアルだ。エピソードには、「おや」「わぁ」「ええ」「ちょっと待って、ちゃんと理解させて」 といった、人間らしく聞こえる語句が散りばめられている。 「ホスト」たちは、お互いの発言を遮ることさえある。
この機能をテストするため、私はMIT テクノロジーレビュー(米国版)の創刊125周年記念号からすべての記事をNotebookLMにコピーし、それを元に10分間のポッドキャストを生成するよう求めた。すると、NotebookLMは注目する記事をいくつか選び出し、ホスト役のAIが記事の要点を見事に伝えてくれた。ぜひ聴いてみてほしい。
MIT テクノロジーレビュー創刊125周年記念号
NotebookLMのプロダクトリーダーを務めるライザ・マーティンは、X(旧ツイッター)で、このAIシステムは、「ほんの少しのコンテンツと引き換えに魔法を創り出す」 ように設計されていると語ってている。音声モデルは、感情的で人を惹きつける音声を生み出すように意図されており、「明るく、強い関心を示す口調」でそれを表現しているとマーティンは言う。
もともと学習用ツールとして登場したNotebookLMは、ユーザーたちの間で独自の使い方をされている。マーティンによると、グーグルは現在、長さ、形式、音声、言語の変更など、多くのカスタマイズ・オプションの開発に取り組んでいるという。今のところ、ポッドキャストは英語でのみ生成可能となっているが、レディット(Reddit)ではフランス語とハンガリー語でのオーディオ作成に成功した例も紹介されている。
確かにクールな機能だ。胸が躍るような、と表現することもできるかもしれない。とはいえ、生成AIを悩ませる幻覚(ハルシネーション)やバイアスなどの問題と無縁というわけではない。
NotebookLMのこれまでの主な活用例をいくつか紹介しよう。
オンデマンド型ポッドキャスト
オープンAI(OpenAI)の創業メンバーの一人で、かつてテスラのAI部長を務めたアンドレイ・カルパシーは、Deep Diveが現在のお気に入りポッドキャストであるとXで述べている。カルパシーは、『Histories of Mysteries(ミステリーの歴史)』という独自のAIポッドキャスト・シリーズを作成した。狙いは、「歴史上最も興味深い謎を明らかにする」 …
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