KADOKAWA Technology Review
×
アマゾン・エコーが採用?
防水防塵低電力な
MEMSマイク
カバーストーリー 無料会員限定
These Tiny Microphones Will Make It Okay to Spill Beer on Your Amazon Echo

アマゾン・エコーが採用?
防水防塵低電力な
MEMSマイク

防水防塵低電力なMEMSマイクをアマゾン・エコーが年内に採用するかもしれない。バッテリー駆動機器の場合、常に電力を消費し、悪環境に弱いするコンデンサー・マイクは、用途を限定させる要因だった。 by Elizabeth Woyke2017.04.03

アマゾン・タップ(Amazon Tap、音声アシスト「エコー」機能内蔵のBluetoothスピーカー)やドップラー・ラボのスマート無線イヤホンなど、持ち運び可能な音声認識機器の普及により、自宅でも移動時でも、音声入力で音楽を再生したり、Webを検索したり、電話の着信時に応答できるようになった。だが、マイク内蔵の機器は砂ぼこりや湿気の影響で故障しやすく、1回の充電で数時間しか使えないこともあり、購入時に思い描いたほどには使う機会がない。

ボストンのスタートアップ企業ベスパー(Vesper)が解決策をもたらした。「カンチレバー構造」(水泳の飛び込み板のように、片方が固定され、もう片方は固定されていないはり構造のこと)を使うことで従来のマイクよりも故障に強く、エネルギー効率が高い、小型の圧電マイクロホンだ。ベスパーは今年下期に出荷予定としており、機器にこのマイクを組み込めば、音声認識装置を屋外や悪天候時でも気にせず使えるし、エネルギー効率が高いので、1回の充電で何日も使えるようになる。

新方式のマイクが故障に強いことを示すため、ベスパーは製品をビールやソーダに浸したり、サラダ油の混じった蒸気を吹き付けたり、砂塵を模した結晶シリカを吹き付けたり、高所から硬い地面に落下させたりしてみせた(上下の動画参照)。新方式のマイク(ごま粒ふたつ分程度の大きさのマイクが隣り合って設置される)は、どんなことをしても壊れないわけではないが、水やホコリ、振動に強く、従来方式のマイクなら信号を大きく損失するベスパーのストレステスト後も、性能を保った。

従来方式のマイク(コンデンサー・マイク)は、硬い背極(バックプレート)と柔らかい振動膜により、音 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. A long-abandoned US nuclear technology is making a comeback in China 中国でトリウム原子炉が稼働、見直される過去のアイデア
  2. Here’s why we need to start thinking of AI as “normal” AIは「普通」の技術、プリンストン大のつまらない提言の背景
  3. The US has approved CRISPR pigs for food CRISPR遺伝子編集ブタ、米FDAが承認 食肉として流通へ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る