電池化学を応用、米スタートアップが高温製錬に代わる銅抽出法
米スティル・ブライトが、バナジウム・フロー電池に着想を得た常温の化学反応で銅を抽出する技術を開発。1200℃以上の高温が必要な従来製錬より汚染が少なく、急増する銅需要と供給危機への対応が期待される。 by Casey Crownhart2025.11.17
- この記事の3つのポイント
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- 米スタートアップが電池化学に基づく水溶液反応で銅を精製する新技術を発表した
- 世界の銅需要は2040年まで40%増加予測だが従来製錬は環境汚染が深刻化している
- 産業規模での実証成功と保守的な鉱業界の受容が技術普及の鍵となる
銅の需要が急増する一方、その汚染度の高い生産プロセスによる公害も拡大している。米国のスタートアップ、スティル・ブライト(Still Bright)の創業者たちは、世界が必要とする銅を、よりクリーンかつ効率的に生産する方法があると考えている。
スティル・ブライトは、電池化学に基づく水溶液反応を用いて銅を精錬しており、この方法は従来の高温製錬よりも汚染が少ない可能性がある。この湿式精錬プロセスは、増大する銅のサプライチェーンへの負担軽減にも寄与すると期待されている。
「我々は、迫りつつある銅供給危機への対応に真剣に取り組んでいます」と、スティル・ブライトの共同創業者兼CEO、ランディ・アレンは語る。
銅は、電気配線から調理器具に至るまで、あらゆるものに不可欠な素材だ。そして太陽光パネルや電気自動車(EV)といったクリーンエネルギー技術が、この金属への需要をさらに押し上げている。世界の銅需要は現在から2040年までに約40%増加すると予測されている。
需要が膨らむにつれ、鉱石から純粋な金属を得る銅抽出プロセスがもたらす気候・環境への影響も拡大している。また、銅サプライチェーンの地理的集中への懸念も高まっている。かつては多くの鉱山が製錬所を併設していた(製錬所は濃縮された銅鉱石を高温で燃焼に近い形で処理することで純粋な銅金属を生成する)。だが現在では製錬産業の集約が進み、多くの鉱山が銅精鉱をアジア、特に中国の製錬所に出荷している。
その理由の一つは、製錬が大量のエネルギーと化学物質を使用し、大気を汚染する硫黄化合物を排出するためである。「銅業界は環境的・社会的問題を他の地域に押し付けてしまったのです」と、ネバダ大学リノ校(the University of Nevada, …
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