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ブロックチェーンの最新動向は#bizofblockchainで
コネクティビティ The Technology Behind Bitcoin Is Shaking Up Much More than Money

ブロックチェーンの最新動向は#bizofblockchainで

ブロックチェーンは、紛争地域で産出されたダイヤモンドを区別し、医療記録を検証し、サプライチェーンのセキュリティーを確保するために使われようとしている。 by Will Knight2017.04.19

ブロックチェーンはビットコインを支えるテクノロジーだ。しかし、二酸化炭素排出量の取引から保健医療記録の保存まで、主要な社会的課題の解決に役立つ可能性がある。だがビットコイン以外への応用には、関係企業と開発者の合意が欠かせない。

ハイパーレッジャー(さまざまなブロックチェーン・テクノロジーの開発を監督するオープンソース・プロジェクト)のブライアン・ベエレンドルフ・エグゼクティブ・プロデューサーは、こうした主張をMIT Technology ReviewとMITメディアラボが18日に共催するカンファレンス「ブロックチェーンのビジネス」(カンファレンスの様子は、ツイッターのハッシュタグ#bizofblockchainでフォローできる)で提起しようとしている。

ベエレンドルフ・エグゼクティブ・プロデューサーは、ブロックチェーンをさまざまな場面に適用しようとする研究開発によって、社会のすみずみまで影響を与えるテクノロジーの変化が起きる、とカンファレンスで発表するはずだ。「この変化は、世界のほとんどの成り立ちを再発明するまたとない機会なのです。金融業界の話ではありません」と述べた。

ブロックチェーンはビットコインの基礎テクノロジーであり、暗号理論に基づいて取引データに署名し、正当性を保証する分散型の取引台帳(Ledger)だ。政府や中央銀行など、集中型の運営組織がなくても決済を追跡して検証できる。台帳を維持するコンピューターで実行する計算により、結果としてビットコインの総額が増えていく。分散型暗号の手法を使えば、金融取引以外にも、あらゆる種類の取引を検証できる(“Why Bitcoin Could Be Much More Than a Currency”参照)。

ベエレンドルフ・エグゼクティブ・プロデューサーは4月18日のカンファレンスで、たとえば南アフリカ共和国のダイヤモンド企業デビアスにとって、ハイパーレッジャーがどう役立っているかを説明する。デビアスはブロックチェーンを使って合法的に入手したダイヤモンドを追跡し、紛争地域から供給されるダイヤモンドと区別する。個々のダイヤモンドに付けられたブロックチェーンのデータを注意深く分析すれば、疑わしいダイヤモンドや不正取引を識別できるはずだ。他にも、炭素取引の検証や、保健医療のデジタル記録のセキュリティー確保の仕組みとして、ブロックチェーンがどう使えるかに関心を持つ企業がある、とベエレンドルフ・エグゼクティブ・プロデューサーはいう。

ビットコインとブロックチェーン・システムの大きな課題のひとつは、技術的な複雑さとセキュリティーに関わる疑問だ。ハイパーレッジャーは、ブロックチェーンの開発に携わる技術者コミュニティーに技術的助言を提供し、方針を示すことで、この問題に対応するのが目的だ。ビットコインはテクノロジーの性質上、コミュニティの運営も分散型になるため、内紛により、通貨の価値は上昇しでも、コミュニティが弱体化する危険が生じた。ハイパーレッジャーはこの問題にも何らかの対策を打ち出す方針だ。

ベエレンドルフ・エグゼクティブ・プロデューサーは、ビットコインとブロックチェーンを取り巻く興奮と大げさな宣伝のせいで、当事者自身が成功の犠牲者になる可能性がある、と警告する。「いま現在あるのは極端に過大な期待です」

しかし、世界で最も広く使われているWebサーバー・ソフト「アパッチ」で以前中心的な開発者を務めたベエレンドルフ・エグゼクティブ・プロデューサーは、強気な姿勢を崩さない。ブロックチェーンというテクノロジーは、Webと同様に世界を変える可能性があると考えているのだ。

ビットコインは2009年に発表され、その2、3年後に多大な関心を巻き起こした。コンピューター・マニアは世界の金融システムをテクノロジーで混乱させることを夢見て、投機家はビットコインの価値が膨らんで利益を得られると考えて、無視できない存在になったのだ。(“What Bitcoin is, And Why it Matters”参照)。ビットコインを実現するブロックチェーンも、通貨以外の用途の基礎テクノロジーとしても使える。だが、さまざま代替ブロックチェーンが登場しており、ハイパーレッジャーも、非通貨用途で使いやすように設計した改良版を開発中だ。

MITメディアラボで開催される今回のカンファレンスでは、暗号通貨等の金融商品や、さまざまな新種のブロックチェーン応用技術(エネルギー取引の監視、サプライチェーン物流の追跡、オンライン音楽鑑賞の決済機能等)を登壇者が披露する予定だ。

テクノロジーの多くはすでに実用段階にある。たとえばデラウェア州政府はシンビオント製のテクノロジーで、事業契約にブロックチェーン・テクノロジーを使おうと検討中だ。IBMと中国の自動関連企業の四川禾嘉(ヘジア)は、サプライチェーン管理用のブロックチェーンシステムを先日発表した。

今後に多くの課題を残しつつ、ベエレンドルフ・エグゼクティブ・プロデューサーは強気だ。「疑う理由はいくらでもありますし、あまりにも多くの大げさな宣伝があふれています。しかし、ゲームのルールを変える本物のチャンスなのです」

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ウィル ナイト [Will Knight]米国版 AI担当上級編集者
MITテクノロジーレビューのAI担当上級編集者です。知性を宿す機械やロボット、自動化について扱うことが多いですが、コンピューティングのほぼすべての側面に関心があります。南ロンドン育ちで、当時最強のシンクレアZX Spectrumで初めてのプログラムコード(無限ループにハマった)を書きました。MITテクノロジーレビュー以前は、ニューサイエンティスト誌のオンライン版編集者でした。もし質問などがあれば、メールを送ってください。
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