KADOKAWA Technology Review
×
ネット広告は割に合わない
P&Gがフェイスブック広告
削減を決めた理由
Evah Fan
カバーストーリー 無料会員限定
Digital Advertising Takes a Hit

ネット広告は割に合わない
P&Gがフェイスブック広告
削減を決めた理由

費用対効果のよさを訴えてきたネット広告が曲がり角を迎えている。大手広告主はターゲティング広告の見直しへ動き出した。 by Kate Kaye2017.05.11

デジタル広告業界は1990年代の誕生以来、ネット広告の威力を喧伝してきた。ネット広告は新聞広告やテレビと違って、企業が狙いを付けた消費者だけを正確に射止めることができる。興味も関心もない消費者に向けて広告を打って、予算を無駄にせずに済むというものだ。

昨年、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)のマーク・プリチャード最高マーケティング責任者(CMO)は、フェイスブックのターゲティング広告予算を削減すると宣言した。プリチャードCMOが明らかにしたP&Gが抱えるデジタル広告に対する不満は、デジタル広告が売りにしてきた「ターゲットを絞ること」の価値に対して疑問を投げかけている。

広告主向けに広告の運用管理と効果測定をサポートするプラットフォーム「アドビ・アドバタイジング・クラウド(Adobe Advertising Cloud)」を提供するアドビのティム・リオーダン特別戦略コンサルタントは、「P&Gが広告に対する方針を見直したのは、広告主にとって例外的なものではありません」と語っている(“The End of Internet Advertising as We’ve Known It”参照)。

デジタル広告を見直す動きが広がっているのかどうかは、デジタル広告費が伸び続けている現状では全体的な数字を精査しないと分からない。市場調査会社イー・マーケター(eMarketer)は、米国のデジタル広告費が2017年の830億ドルから2桁成長し、2021年には1290億ドルを超えると予測している。830億ドルは、2017年の広告費全体の見込額である2060億ドルのうち、40%近くを占める。デジタル広 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. A tiny new open-source AI model performs as well as powerful big ones 720億パラメーターでも「GPT-4o超え」、Ai2のオープンモデル
  2. Geoffrey Hinton, AI pioneer and figurehead of doomerism, wins Nobel Prize in Physics ジェフリー・ヒントン、 ノーベル物理学賞を受賞
  3. The coolest thing about smart glasses is not the AR. It’s the AI. ようやく物になったスマートグラス、真価はARではなくAIにある
  4. Geoffrey Hinton tells us why he’s now scared of the tech he helped build ジェフリー・ヒントン独白 「深層学習の父」はなぜ、 AIを恐れているのか?
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者は11月発表予定です。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る