KADOKAWA Technology Review
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Here Come the Electric Garbage Trucks

バッテリー大容量化で
電動ごみ収集車が実用化

電気自動車化で大型トラックの燃料費と二酸化炭素排出量を減らせるかもしれない。理論的にはできるはずだ。 by Michael Reilly2016.08.04

道路を走っているのが電気自動車ばかりになるかどうかはもう少し待たないとわからない。だが、新類の車両が電動化されようとしている。ごみ収集車だ。

スタートアップ企業ライトスピードの創業者イアン・ライトCEOはクォーツに「5年以内にごみ収集車はすべて電気化するでしょう」と語った。ライトCEOが設計している内蔵天然ガスタービンとバッテリーのハイブリッド型トラックは、ディーゼル使用のゴミ収集車に置き換わる可能性があるのだ。

ライトスピードとニコラ・モーター・カンパニーは、トラックの動力源として、天然ガスと電気のハイブリッド型に力を入れている(詳細は不明だが、両社とも「ゼロ・エミッション車両」になるという)。ライトスピードは電動トラックが砂漠でヘリコプターに追い回されながら疾走する映像を発表しており、ニコラは12月に大きな発表を予定している

現在のごみ収集車の燃費は 1リットルあたり約0.4kmで、年間平均4万2000ドルの燃料費がかかる。電気トラックを開発するライトスピードから見ると、効率の高い車両に交換される余地があると見えたのだ。ただし、ディーゼルトラックの車両費は約15万ドルのであるのに対し、ライトスピードのトラックはさらに約15万ドル高価であり、長期的に燃料費を節約できるとしても、自治体や民間のごみ処理業者が購入を決断する価格ではないことは、ライトCEOも認めている。

一方でニコラは、トレーラーを電動に交換しようとしている。二コラは、積載量3.6トンのトラックを1回の燃料補給で1600km走行させるとしている。

スタートアップ企業に負けじと、ライトCEOも設立に関わったテスラも、究極のグリーントラックの製造競争に加わると最近示唆しており、おそらく来年にはセミトレーラー型の「Tesla Semiを発表するだろう。ただし、テスラは創業以来100%バッテリーで走行する車両を作りつづけており、ライトスピードとニコラのようなに、ガスタービンとのハイブリッド車両にするかは、まだ何の言及もない(マスタープランらしきものだけだ)。

ごみ収集車と長距離トラックを、排ガスが少なく、静かで、しかも高馬力な車両に置き換える構想は確かに魅力的だ。ごみ回収日の朝5時に、窓の外から聞こえてくるディーゼルエンジンの轟音で目を覚ましたいと思う住民はあまりいない。二酸化炭素排出の点でもメリットは大きい。米国では、4トン以上のトラックの二酸化炭素排出量が米国の輸送部門全体の5分の1を占めている。ただし、こうした夢のような構想が魅力的である一方で、ディーゼルエンジンを改善したり、電動トラックを電車のように高架線で給電したりする地味な方法も、将来的にトラックの二酸化炭素排出量を低下させる最善の策かもしれない。

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マイケル レイリー [Michael Reilly]米国版 ニュース・解説担当級上級編集者
マイケル・レイリーはニュースと解説担当の上級編集者です。ニュースに何かがあれば、おそらくそのニュースについて何か言いたいことがあります。また、MIT Technology Review(米国版)のメイン・ニュースレターであるザ・ダウンロードを作りました(ぜひ購読してください)。 MIT Technology Reviewに参加する以前は、ニューサイエンティスト誌のボストン支局長でした。科学やテクノロジーのあらゆる話題について書いてきましたので、得意分野を聞かれると困ります(元地質学者なので、火山の話は大好きです)。
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