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ビデオ会議で見づらいホワイトボードを使って議論するのはストレスだ。ホワイトボードをもっと見やすく共有できれば、会議の生産性ははるかに向上するはずだ。 by Elizabeth Woyke2017.09.13

非生産的な会議に参加するのは嫌なものだが、ビデオ会議の最中に約4800キロメートル離れた会議室にいる誰かが、よく見えもしないホワイトボードに何やら書き込み始めるとなると、事態はもうほとんど最悪だ。

企業や組織は世界各地で従業員を雇い入れるため、距離の隔たりを超えた共同作業のための支援ツールを必要としている。しかし、一般的なウェブカメラを使用したライブ配信でホワイトボードを映すと、文字が鏡に映したように左右逆になってしまう。たとえ、正しい向きで文字や図形が認識できたとしても、影や反射の影響で読み取りづらく、もどかしい思いをすることもある。

マサチューセッツ州ケンブリッジに拠点を置くスタートアップ企業サイクロプス(Cyclops)は、この問題を解決するオンライン・ビデオ会議向けのサービスを開発している。コンピューター・ビジョンのアルゴリズムを応用することで、ホワイトボードに書かれた文字を正しい向きに反転、明瞭化して表示させ、すべての会議参加者がボードの内容を問題なく読み取れるようにした。

開発に約2年を要したサイクロプスのテクノロジーは、いわゆる「ノイズ」、つまり一般消費者向けのウェブカメラやノートPCのカメラで発生する視覚的な歪みを軽減する。さらに、サイクロプスのアルゴリズムはホワイトボードをスキャンし、文章や線のように見えるマークを検出、増強し、より鮮明でコントラストの強い画像を表示する。

近年ではシスコシステムズ、グーグル、マイクロソフトらが、タッチペンを使って書き込める、大型のインターネット接続型タッチスクリーン・モニターを発表している。アルティアシステムズ(Altia Systems)やキャプティボ(Kaptivo)をはじめとするスタートアップ企業各社は、ウェブベースのソフトウェアを利用して、通常のホワイトボードをインタラクティブ・ホワイトボードにするカメラを販売している。

しかし、そういったカメラは大抵数百ドルほどの価格で、1年ごとにソフトウェアの使用料を支払わなければならない。一方で、グーグルのジャムボード(Jamboard)やマイクロソフトのサーフェス・ハブ(Surface Hub)などのデジタル・ホワイトボードは、価格が9000ドルもする。どちらのタイプの製品も、ソフトウェアの設定やハードウェアの取り付け、あるいはその両方の手間がかかる。

サイクロプスによると、同社のツールはより使いやすく低コストだという。ウェブカメラとスラック(Slack)のアカウントがあれば、たった数回クリックするだけで、遠隔地にいる同僚と共有するホワイトボードに接続できる。アプリ内にあるスイッチを使ってコンピューター・ビジョンのアルゴリズムをカスタマイズし、画像のコントラスト、鮮明さ、質感を調整することができるほか、拡張現実(AR)機能を使って画面に映し出されたホワイトボードの上に書き込みをしたり、コメントを入れたりすることも可能だ。また、ホワイトボードのスクリーンショットを撮影し、スラックに画像を直接アップしたり、Eメールで送信することもできる。

今のところ、サイクロプスのツールはすべて無料で利用できる。サイクロプスの共同創業者のワイキット・ラウ最高経営責任者(CEO)は、将来的には1カ月単位で少額の利用料を課すことになるかもしれない、と語る。

まだ解決できていない課題もある。現状、ビデオ会議には8人までしか同時にログインすることができない。また、ホワイトボードの機能強化に用いられているアルゴリズムは、人のジェスチャーやカメラの前を歩いて横切る動きなどの速い動作には対応しておらず、そういった動きを捉えようとすると画像がぼやけてしまう。ラウCEOは、映像全体ではなく、ホワイトボード上に書かれた線だけをはっきりと表示させるように改良することで、この課題を解決したいという。

すでにサイクロプスのツールを使用しているユーザーによると、配信映像がまれに停止することがあり、他のビデオ会議サービスに比べると画質が荒いという。しかし、アピア・ドット・イン(Appear.in)、グーグル・ハングアウト(Google Hangouts)、ゴートゥーミーティング(GoToMeeting)、 スカイプウェブエックス(WebEx)、 ズーム(Zoom)などの競合サービスの中で、サイクロプスのホワイトボード機能の使い勝手は際立っているとも考えている。

ボストン近郊のテクノロジー企業家、ポール・モービルは、サイクロプスに出会う以前、グーグル・スライドを使用してグループ・メンバーが共同で閲覧、編集できるオンライン用プレゼンテーションを作成していた。サイクロプスのサービスは、より迅速かつシンプルなブレインストーミングの手段だと、モービルは語る。「電話で話している最中に『ホワイトボードに書いてみたんだけど、ちょっと見てもらえるかな』と言って、その15秒後には相手側にボードの画像を送って見せることができるんです。しかも、はっきりとした読みやすいやつをね」。

大満足のユーザーがもう一人。南アフリカ共和国ヨハネスブルグの企業スウィッチ・イノベーションのブレット・テレスポルスキー最高技術責任者(CTO)だ。以前の彼は、会議を終える際には、遠隔地の同僚たちに書き込みで一杯のホワイトボードの画像を送信することが常だった。サイクロプスのツールを利用することに決めた今では、チーム全員が1枚のホワイトボードを囲み、プロジェクトの見直しと企画をリアルタイムに進めることができる。

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エリザベス ウォイキ [Elizabeth Woyke]米国版 ビジネス担当編集者
ナネット・バーンズと一緒にMIT Technology Reviewのビジネスレポートの管理、執筆、編集をしています。ビジネス分野ではさまざまな動きがありますが、特に関心があるのは無線通信とIoT、革新的なスタートアップとそのマネタイズ戦略、製造業の将来です。 アジア版タイム誌からキャリアを重ねて、ビジネスウィーク誌とフォーブス誌にも在籍していました。最近では、共著でオライリーメディアから日雇い労働市場に関するeブックを出したり、単著でも『スマートフォン産業の解剖』を2014年に執筆しました。
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