KADOKAWA Technology Review
×
ニュース Insider Online限定
How Reuters’s Revolutionary AI System Gathers Global News

ロイター、ネタの選定から執筆までほぼ完全自動のAI記者を開発

ロイターはツイッターからニュースを発見、選定し、自動的に記事を作成するAIシステムを開発した。全ニュースの70%をツイッターから自動生成できるという。 by Emerging Technology from the arXiv2017.12.25

「インターネットの出現とそれに伴う情報量の増加によって、ジャーナリストが正確かつ迅速にニュースを伝えることは、ますます困難になってきている」——。こんな書き出しで始まる論文を、世界的な通信社であるロイターの研究開発チームがアーカイブ(arXiv)に投稿した。

事実をねじ曲げる「ねつ造ニュース」の出現によって、ロイターが指摘する問題はさらに深刻化している。それにもかかわらず、APなどの通信社は、自動ニュース作成サービスへの移行を推進中だ。自動ニュース作成サービスは、決算発表や特定のスポーツの試合結果などの決まり切った内容を、事前に用意したひな形にコピー&ペーストして記事を作成するのだ。たとえば、「ウォール街の予想に反し、Xは第3四半期にY百万の利益を上げました」といった具合だ。

こうした状況から、他の通信社にもニュース作成の自動化を進めなければならないという大きなプレッシャーがかかっている。11月27日、ロイターは特定のニュース速報の作成をほぼ完全に自動化する方法の概要を発表した。ロイターのリウ・シャオモら研究開発チームと、中国のアリババ・グループは、新しいシステムはうまく動作していると述べた。確かに、このシステムはニュース・ビジネスに革命を起こす可能性がある。しかし同時に、悪意ある人物によって操られてしまう可能性があるかもしれない、という懸念も高まっている。

新しいシステムは「ロイター・トレーサー(Reuters Tracer)」と呼ばれ、ツイッターをある種の世界的な探知機として使い、ニュースがあればすぐに記録する。その後、システムは、さまざまな種類のデータ・マイニングと機械学習を使って、最も関連性の高いニュースを選択し、テーマを決め、優先順位を付け、見出しと要約を書く。そうして出来上がったニュースはロイターの世界的な配信網を使って配信される。

プロセスの第1段階は、ツイッターのデータの流れを捕らえることから始まる。ロイター・トレーサーは全ツイート数の2%、約1200万件のツイートを毎日検証する。約1200万件の半数は無作為に抽出され、残りの半数はロイターの …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. AI crawler wars threaten to make the web more closed for everyone 失われるWebの多様性——AIクローラー戦争が始まった
  2. Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 好評につき第2弾!研究者のキャリアを考える無料イベント【3/14】
  3. OpenAI releases its new o3-mini reasoning model for free オープンAI、推論モデル「o3-mini」を無料提供
  4. Inside the race to archive the US government’s websites 米政府系サイトが続々閉鎖、 科学者らが緊急保存作戦
▼Promotion
U35イノベーターと考える 研究者のキャリア戦略 vol.2
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る