KADOKAWA Technology Review
×
「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集中!
完全な自律自動車へ向けて基幹部品ライダーも進化中
Velodyne
ニュース 無料会員限定
Lidar Just Got Way Better—But It’s Still Too Expensive for Your Car

完全な自律自動車へ向けて基幹部品ライダーも進化中

完全な自律自動車の実現には高度なセンサーが必要だ。中でも重要な部品である「ライダー(LIDAR)」をめぐっては、昨年12月に市場トップのベロダインが従来よりも性能を大幅に引き上げた新製品のサンプル出荷を開始した。価格は未定だが、量産化されればロボット・タクシーや自律トラックに搭載されそうだ。 by Jamie Condliffe2018.02.01

自律自動車の屋根で回転している象徴的なレーザー・センサーが、完成度を上げてきた。世界市場をリードするライダー(LIDAR:レーザーによる画像検出・測距)メーカーのベロダイン(Velodyne)は、現在販売されているライダー・センサーよりも視野が広く、精度の高い新型デバイスを完成させた。大きさも、従来の高解像度デバイスに比べて5分の1だ。

ライダー・センサーは、近くの物体にレーザー光線を照射しその反射を利用して、精度の高い周囲の3Dマップを作り上げるもので、自動運転自動車に欠かせない部品だ。市販製品としてこれまで最高とされていたのは、ベロダインのHDL-64Eで、クルクルと回りながら64本のレーザー光線を同一方向に照射するコーヒー缶ほどの大きさのものだ。64本のレーザー光線はそれぞれ0.4度の角度を付けて照射され、到達距離は120メートルだ。

だが、このスペックでは高速で走行する車が不測の事態に巻き込まれても役に立たない。時速約112キロメートルで走る車は、わずか4秒で障害物に反応しなければいけない。角度分解能も低すぎるため、遠くの障害物を認識できない。レーザー光線が広がりすぎて可視画像を返せないからだ。結果として、たとえライダー・センサーが搭載されていても、多くの自律自動車は他のセンサーからのデータを使って障害物を認識している。

MITテクノロジーレビューの「2017年版35歳未満のイノベーター35人」にも選ばれた、ベロダインのライバル企業ルミナー(Luminar)のオースティン・ラッセル最高経営責任者(CEO)は、「結論はとてもはっきりしています」と以前、MITテクノロジーレビューに語ったことがある。「200メートル先まで見えるライダーが必要です。それに、ただ見えるだけではダメです。障害物があるというだけでなく、それが何なのかが見えなくてはいけないのです」。

そういった懸念を背景に、世界トップレベルの無人乗用車プロジェクトでは独自のライダー・システムが開発されている。そのうちの2社、ウ …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. AI can make you more creative—but it has limits 生成AIは人間の創造性を高めるか? 新研究で限界が明らかに
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2024 「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集のお知らせ
  3. A new weather prediction model from Google combines AI with traditional physics グーグルが気象予測で新モデル、機械学習と物理学を統合
  4. How to fix a Windows PC affected by the global outage 世界規模のウィンドウズPCトラブル、IT部門「最悪の週末」に
  5. The next generation of mRNA vaccines is on its way 日本で承認された新世代mRNAワクチン、従来とどう違うのか?
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る