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知性を宿す機械 Intel Tries to Rearchitect the Computer—and Itself

インテルぶっ飛んでる
失地回復へ本気の技術革新

インテルが巻き返しをかけて、高速なデータストレージとレーザー内蔵半導体チップを発表した。 by Tom Simonite2016.08.25

世界最大の半導体メーカーであるインテルは、従来とは異なるコンピューターを製造すべき時期だという。そのために必要な新たなハードウェアテクノロジーも販売したがっている。

サンフランシスコで先週、インテル経営陣が発表した、データストレージと、データ伝送に関する2つの新たなテクノロジーは、確立されたコンピューター設計の方法を揺るがす可能性がある。新テクノロジーの主な対象はモバイルアプリとウェブサイト、さらに、新たに台頭してきた分野である人工知能を動かす、巨大なデータセンターだ。消費者向け製品にも投入することで、消費者もより直接に恩恵を得られるだろう。

インテルには新たな市場が必要だ。4月には、1万2000人の従業員の解雇と、インテルが逃した巨大市場であるモバイルデバイス用半導体の製造中止を発表した。何十年にもわたり業界とインテルの事業を支えてきたトレンドである、より小型の新世代トランジスターを発表する「ムーアの法則」のペースを遅らせる必要もあった。(「Intel Puts the Brakes on Moore’s Law」を参照)。

インテルの新テクノロジーの1つはデータストレージ一種だが、現在ノートパソコンやデータセンターで使われているフラッシュディスクよりも高速だ。インテルがOptaneと名付けた新テクノロジーは、メモリメーカーのマイクロンと共同開発した「3D Xpoint」テクノロジーに基づいている。インテルは3D Xpointの仕組みを明らかにしていないが、ガラス様の「相転移」材料を加熱することでデータを書き込むと考えられている。(「A Preview of Future Disk Drives」参照)

Silicon chips with built-in lasers allow this gadget to add a new kind of high-speed, optical fiber data link to data center computers.
半導体チップに内蔵されたレーザーにより、新種の高速光ファイバーデータリンクをデータセンターのコンピューターにも接続できる

インテルは2016年にOptaneディスク、2017年にコンピューターのRAMと同一のスロットに組み込めるメモリーチップを発売すると発表した。先週のインテルの年次開発者会議でプロジェクトの技術責任者であるフランク・ハーディー・フェローは、試作版のOptaneディスクを搭載したコンピューターでデータベースレコードの処理(フェイスブックなどの企業のデータセンターで一般的な作業)が、フラッシュディスクの3倍の速度になることを示した。Optaneドライブは、ストレージ内にバラバラに記録されたデータの断片の場所を突き止めてアクセスするのに、フラッシュディスクやSSDの10分の1の時間しかかからない、とハーディー・フェローはいう。

この数年で人気が高まったフラッシュディスクは、コンピューター会社に採用されて、サーバーや消費者向けパソコンのディスクアクセス速度を高速にしている。Optaneドライブがパソコン向けに登場すれば、性能はさらに向上するだろう。カリフォルニア大学サンタクルーズ校格納システム研究センター所長のイーサン・ミラー教授は、インテル社外の研究者や企業が採用したり、実証したりするようになれば、Optaneディスク(3D Xpoint)はコンピューターシステムを構築し、利用する方法として、フラッシュよりも大きな影響があるという。

たとえば、Optaneメモリーチップは、検索エンジンやソーシャルネットワークを支える高価なデータセンターのシステムをはるかに効率的にする手段になり得る。フェイスブックなど、インターネットの大企業は喜んで採用するだろう。

Optaneメモリーチップは、RAMとは異なり、電源オフ時もデータを保持する。データセンターのシステムは、クラッシュや停電後に、より速やかに復旧できるようになる。

先週、インテルはコンピューター間でデータを移動させるための新しい方法も発表した。データセンター内の銅ケーブルを光ファイバーケーブルに置きかえる方法として、小さなレーザーを内蔵したシリコンチップの製造を開始した。光ファイバー接続は現在、部品大きさやコストが原因で、通信ネットワークなどの長距離接続で使われることが多い。インテルのテクノロジーは太さ数ミリの1本の光ファイバーで、100Gbpsのデータ伝送を実現する。

生産上の問題のために、インテルが従来約束していた、シリコンフォトニクステクノロジーの2013年の発売はまだ実現していない。(「Intel’s Laser Chips Could Make Data Centers Run Better」参照)。しかし、今や、IBMやシスコなど、同種のテクノロジーに取り組む他の企業を凌駕できる段階にあるようだ。インテルのデータセンタービジネスの責任者であるダイアン・ブライアント取締役副社長は「インテルはシリコンに光を当てる最初の企業になります」と先週のイベントで述べた。

インテルのシリコンフォトニクステクノロジーは当初、データセンター内のネットワーク機器の接続に利用されるだろう、とブライアントはいう。しかし、その後はサーバーの通信に使われるだろうし、インテルはコンピューター内の金属ケーブルの一部をシリコンフォトニクスリンクに置き換えたがっている。そうなれば、銅ケーブルの性能に制約されている従来のコンピューター設計を、設計者が再考できるようになる。シリコンフォトニクスは最終的に、消費者が利用するデータケーブルとコンピューターの高速化に使われるだろう、とインテルは従来からいっていた。

マイクロソフトのクラウドコンピューティングサービスAzureを支えるハードウェアを取り仕切るクシャグラ・ベイド部長もイベントに登場し、ブライアント副社長の脇で、自チームのサーバー群が処理できるデータ量を増加させ続ける方法として、この新たなテクノロジーを当てにしたい、といった。現在、従来型の伝送方式は制約になりつつある。

「新たなテクノロジーが必要です。シリコンフォトニクスリンクはスケールし続けるための素晴らしい方法です」

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トム サイモナイト [Tom Simonite]米国版 サンフランシスコ支局長
MIT Technology Reviewのサンフランシスコ支局長。アルゴリズムやインターネット、人間とコンピューターのインタラクションまで、ポテトチップスを頬ばりながら楽しんでいます。主に取材するのはシリコンバレー発の新しい考え方で、巨大なテック企業でもスタートアップでも大学の研究でも、どこで生まれたかは関係ありません。イギリスの小さな古い町生まれで、ケンブリッジ大学を卒業後、インペリアルカレッジロンドンを経て、ニュー・サイエンティスト誌でテクノロジーニュースの執筆と編集に5年間関わたった後、アメリカの西海岸にたどり着きました。
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