KADOKAWA Technology Review
×
ニュース Insider Online限定
A small-scale demonstration shows how quantum computing could revolutionize data analysis

量子コンピューティングはデータ分析に革新をもたらすか

中国の研究者が位相幾何学の計算に、量子コンピューターが活用できることを証明した。科学分野のさまざまな課題において、従来のコンピューティングと比べてはるかに高速に解析できる可能性がある。 by Emerging Technology from the arXiv2018.04.26

数学の一分野である位相幾何学では、曲げたり伸ばしたりすることで対象の形状を別の形状に変化させることができる。過去数十年間、位相幾何学はごく少数の研究者が探求するものだったが、今では現実世界を解析する強力なツールとしてますます発展している。特に、位相幾何学分野における対称性が果たす役割の重要性が明らかになっている。

対称性とは、視点が変わっても性質が変わらないことを言う。たとえば、正方形は90度回転させても同じに見える。こうした不変性は回転対称性と呼ばれる。

一方で、各スケールを通して対称性を維持する位相構造もいくつか存在する。数学者はこうした対称性を永続的相同性(persistent homologies)と呼んでいる。永続的相同性の研究は、ネットワーク分析、データマイニング、そして脳の構造の理解などの幅広い問題を解く鍵になることが明らかになりつつある。

理論的にはこうした対称性を記述するのは簡単で、たとえば、データ構造内の穴や空洞の数を数えればよい。求められた数はベッチ(Betti)数と呼ばれ、ベッチ数が同じ構造は位相的に等しい。

しかし、ある問題が存在する。ベッチ数を計算するには、高いコンピューティング能力が必要だ。「従来の最も強力なコンピューターでさえそれほど規模が大きくないデータセットの計 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Inside the tedious effort to tally AI’s energy appetite 動画生成は別次元、思ったより深刻だったAIの電力問題
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2025 「Innovators Under 35 Japan」2025年度候補者募集のお知らせ
  3. IBM aims to build the world’s first large-scale, error-corrected quantum computer by 2028 IBM、世界初の大規模誤り訂正量子コンピューター 28年実現へ
  4. What is vibe coding, exactly? バイブコーディングとは何か? AIに「委ねる」プログラミング新手法
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る