医療の高度な個別化は生命に「格差」をもたらすのか
高度に個別化された適確医療(Precision Medicine)は、少数派や女性たち、貧しい人々といった特定のグループに想定外の悪影響を及ぼす可能性がある。 by Emily Mullin2018.03.05
適確医療(Precision Medicine=精密医療とも呼ばれる)は、遺伝的体質、民族性、食事、居住地域など、あらゆる方面の個人情報をもとに、あらゆる疾患向けの高度に個別化された治療法を打ち出して、それまでの万能型医療と置き換えていくことを目指している。
医師はこれによってあらゆる人々をより健康にできると考えている。だが、ニューヨークのデータ&ソサエティ研究所(Data & Society Research Institute)の新たな報告書によると、特定の属性を持つ人は、医療が個別化されることによって不利を被る可能性があるという結果が出ている。明らかにその危険性の無い集団の1つは、医療保険やまともなライフスタイルを保つことのできる白人男性だ。
では、打撃を受けるのは誰か?
医療保険未加入者
適確医療は多くのデータを持つ研究者に依存している。米国では、そうしたデータは医者が患者を診察するたびに更新される電子健康記録(EHR)から入手される。したがって保健未加入者や定期的に医者にかかることのない人についての情報は、相対的に非常に少なくなる。そ …
- 人気の記事ランキング
-
- China wants to restore the sea with high-tech marine ranches 海に浮かぶ巨大施設、 中国が進める スマート海洋牧場の野望
- Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 無料イベント「U35イノベーターと考える研究者のキャリア戦略」のご案内
- Trajectory of U35 Innovators: Masaki Nakada 仲田真輝:人工生命起業家が「魚の養殖」にピボットした理由
- What’s next for AI in 2025 2025年のAIはこう動く 本誌が予測する5大トレンド
- Anthropic’s chief scientist on 5 ways agents will be even better in 2025 アンソロピック主任科学者が語る「AIエージェント」4つの進化