KADOKAWA Technology Review
×
VRで操縦、慶応大研究者が作った「4本の腕」を持つ男
Keio University Graduate School of Media Design, the University of Tokyo
ニュース 無料会員限定
Meet the guy with four arms, two of which someone else controls in VR

VRで操縦、慶応大研究者が作った「4本の腕」を持つ男

慶応大学の研究者らが、人間に装着した2本のロボットアームを、別の人間がVR(実質現実)で操作するウェアラブル・システムを開発している。ロボットアームは物を掴んだり拾ったりするほか、装着者の腕を遠隔操作することも可能で、遠く離れている人同士が共同で作業するのに役立つ可能性がある。 by Rachel Metz2018.08.08

4本の腕を持つヤメン・サライジは、そのうちの2本で自身をハグしていた。

ハグしているのは、背中に背負ったバックパックからひょろりと伸びたロボットアームだ。このロボットアーム、実はサライジと同じ視点で周囲を見渡せるVR(実質現実)ゴーグル「オキュラス・リフト」を装着した別の人間が遠隔で操作している。バックパックに接続された複数台のカメラのおかげで、操作者の視界は良好だ。ロボットのアームとハンドは、操作者が持つ携帯型のコントローラーによって操られているのだ。

ロボットアームがサライジをハグから解放する。ロボットの右手がサライジにハイタッチすると、彼は顔をほころばせた。

東京にある慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)で特任講師を務めるサライジは、「フュージョン(Fusion)」と呼ばれる「バックパック上のロボットアーム」プロジェクトの開発を主導し、人が機械を自分の身体の一部のように使って能力を増強する研究を共同で進めている。日本の研究室からビデオチャットで見せてくれたロボットの動きの中にはひょうきんなものもあったが、サライジ講師は遠隔地からの動きの指導や理学療法にこのロボットアームが役立つと考えている。

ハグをしたりハイタッチをしたりするほかに、ロボットアームとハンドの操作者は物を拾い上げたり、バックパックを背負う人間の腕や手を動かしたりもできる。ロボットの手の部分を取り外して、代わりにバックパック装着者の手首を覆うストラップをつければ、バックパック装着者の腕を本当に遠隔操作できる。 サライジ講師が慶応大学および東京大学の研究者とともに製作したこの装置は、カナダのバンクーバーで8月に開催されるコンピュータグラフィックス …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. We finally have a definition for open-source AI 「オープンソースAI」問題ついに決着、OSIが定義を発表
  2. Here’s how people are actually using AI カネにならない生成AIブーム、LLMはどう使われているか?
  3. The US physics community is not done working on trust 物理学界で繰り返される研究不正、再発防止には何が必要か
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る