KADOKAWA Technology Review
×
SUNY
カバーストーリー Insider Online限定
The Defense Department has produced the first tools for catching deepfakes

米軍が鑑識ツールを開発
「フェイク動画」戦争
第二幕が始まった

人工知能(AI)を利用することで、本物と見まがうほどの出来のねつ造映像を簡単に作れるようになった。研究者たちはねつ造を見抜くツールの開発に躍起になっており、ねつ造映像制作者との間で今後、AIが後押しする激しい「軍拡競争」競争が勃発するかもしれない。 by Will Knight2018.08.09

米国国防総省(DoD)は、人工知能(AI)技術を使って制作されたリベンジ・ポルノやフェイク・ニュースを見抜くための初めての鑑識(フォレンジック)ツールを開発した。

鑑識の専門家らは、機械学習で合成したり編集したりした映像を検出する方法を見つけるのに躍起になっている。機械学習を利用すれば、非常に簡単に、本物と見分けがつかないねつ造映像を制作できるからだ。こうしたねつ造映像を悪用すれば、デマを流したり他人に嫌がらせをしたりできる。

ねつ造映像を制作する際に最も一般的な手法として、機械学習を利用してある人物の顔を別の人物の顔にすり替えるというものがある。こうして作り出された映像は「ディープフェイク」と呼ばれる。ディープフェイクの制作は非常に簡単だ。しかも驚くほど本物そっくりになる。手慣れた映像編集者がさらに微調整すると、本物以上とさえ見える映像が作り出されてしまう。

映像で人を騙すには生成モデリング(Generative Modeling)と呼ばれる機械学習の手法が使われる。コンピューターに現実のデータを学習させてから、統計的に類似した偽のデータ・サンプルを生成させる手法である。この手法に最近、「競争式生成ネットワーク(GAN: Generative Adversarial Networks)」と呼ばれる2つのニューラル・ネットワークを共に働かせるという工夫が加えられ、本物とさらに見分けがつかない偽のデータが生成可能になった(「イアン・グッド …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. We finally have a definition for open-source AI 「オープンソースAI」問題ついに決着、OSIが定義を発表
  2. Here’s how people are actually using AI カネにならない生成AIブーム、LLMはどう使われているか?
  3. The US physics community is not done working on trust 物理学界で繰り返される研究不正、再発防止には何が必要か
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る