KADOKAWA Technology Review
×
「暗号解読後」の世界へ向けて動く中国、対抗策はあるか?
Ben Esakoff
コンピューティング 無料会員限定
China is beating the US when it comes to quantum security

「暗号解読後」の世界へ向けて動く中国、対抗策はあるか?

サイバーセキュリティ企業であるクアンタム・エクスチェンジのCEO(最高経営者)は、米国は量子セキュリティ技術において中国のみならず欧州にも後れを取っており、政府による早急なテコ入れの必要があると、MITテクノロジーレビュー主催のイベント「EmTech(エムテック)フューチャー・コンピュート」で述べた。 by Neel V. Patel2019.12.17

中国と通じたハッカーが米国人事管理局のコンピューターシステムに侵入し、数百万人もの米連邦職員や請負業者の機密情報を盗んだ事件から6年が経つ。盗まれたのは、機密情報を取り扱うための身元調査の際に収集されたもので、非常に個人的な情報だった。しかし、全ての情報が失われたわけではない。人事管理局のセキュリティに大きな穴があったのは明らかだが、盗まれたデータには暗号化されていたものもあった。つまり、攻撃者たちには役に立たないものだった。

だが、その状況も長くは続かないだろう。暗号化されたデータでさえ危険に晒されるのは時間の問題だ、というのが米メリーランド州ベセスダに拠点を置くサイバーセキュリティ企業であるクアンタム・エクスチェンジ(Quantum Xchange)のジョン・プリスコCEO(最高経営責任者)の見方だ。12月2、3日に開催されたMITテクノロジーレビュー主催の「EmTech(エムテック)フューチャー・コンピュート」で同CEOは、中国が積極的に量子コンピューティングの開発を進めていることは、暗号化されたデータにアクセスする鍵を見つけ出すシステムをいずれ作り上げることを示していると語った。暗号解読のための量子システムが作られたら、現在の暗号はほとんど解読されてしまうだろう。

中国は「今のうちに手に入れ、後から解読する」というアプローチで進んでいるとプリスコCEOは述べた。中国はたとえ今はまだ解読 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. A long-abandoned US nuclear technology is making a comeback in China 中国でトリウム原子炉が稼働、見直される過去のアイデア
  2. Here’s why we need to start thinking of AI as “normal” AIは「普通」の技術、プリンストン大のつまらない提言の背景
  3. AI companions are the final stage of digital addiction, and lawmakers are taking aim SNS超える中毒性、「AIコンパニオン」に安全対策求める声
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る