KADOKAWA Technology Review
×
Saiman Chow
カバーストーリー 無料会員限定
If You Get Your Face Scanned the Next Time You Fly, Here’s What You Should Know

東京便にも導入された
顔認識ゲートの本当の狙い

ヒューストンから東京へ向かう便に顔認識システムが導入された。航空会社は搭乗時間短縮のためと説明するが、プライバシーの専門家はよく考えるべきだと指摘する。 by Mike Orcutt2017.07.14

航空機の搭乗手続きがスムーズになるなら、進んで協力しようと考える人は多いだろう。しかしプライバシーの専門家は、ゲートのカメラに顔をスキャンさせることについては、再度熟慮したほうがいいかもしれないという。

顔認識システムを使えば確かに、航空会社が説明するとおり、搭乗時間が短縮するかもしれない。しかし、顔認識システムが米国の空港に設置してあるのは、誰が出国しようとしているのかを、米国政府がより確実に把握するためだ。旅行者の顔をスキャンし、政府が保存している写真と照合することで、偽造パスポートの保持者を捕まえ、ビザ(査証)の期間を超えて滞在している人がいないかを確認するのが狙いだ。

このやり方に懸念を抱いている法律専門家もいる。個人のプライバシー保護を侵害する可能性があり、連邦議会が完全に認可したわけではないというのだ。

米国国土安全保障省(DHS)は、ニューヨークのJFK国際空港、ワシントンD.C.のダレス国際空港、アトランタ、ボストン、ヒューストンなどの空港に顔認識システムを導入するために、ジェットブルー航空やデルタ航空をはじめとする航空会社と連携した。顔認識システムを導入する空港は2017年夏には、さらに増える予定だ。この取り組みは、数年前に議会から出された命令に応じてのことである。その命令とは、空路、海路、陸路のあらゆる入出国港で、米国市民以外の者の出入国を記録するために、DHSが生体認証を実施するというものだ。2017年前半、トランプ大統領は大統領令を使って、この命令を迅速に遂行させた。

政府 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Inside the tedious effort to tally AI’s energy appetite 動画生成は別次元、思ったより深刻だったAIの電力問題
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2025 「Innovators Under 35 Japan」2025年度候補者募集のお知らせ
  3. IBM aims to build the world’s first large-scale, error-corrected quantum computer by 2028 IBM、世界初の大規模誤り訂正量子コンピューター 28年実現へ
  4. What is vibe coding, exactly? バイブコーディングとは何か? AIに「委ねる」プログラミング新手法
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る