フラッシュ2022年6月23日
-
レーザー方式の粉末3Dプリンターでニッケル単結晶を造形=NIMSなど
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]物質・材料研究機構(NIMS)と大阪大学の共同研究チームは、照射面強度分布が均一でビーム半径が大きいレーザーを、ニッケル粉末に照射することにより、欠陥が少なく、結晶の方向がそろった単結晶を造形することに成功した。安価で普及率が高いレーザー方式による造形が可能になれば、単結晶により製造できる部品の範囲が大きく広がり、航空機エンジンやガスタービンの耐熱材料のほか、さまざまな単結晶材料へ応用できる。
研究チームは、フラットトップレーザーを用いて粉末溶融時に形成する溶融池の形状を平面状に制御することにより、従来よりもひずみ導入を抑え、結晶の方向がそろった単結晶を造形した。破壊の起点となる結晶粒界をなくした単結晶は高温強度に優れており、同手法は凝固時に導入されるひずみが小さいため、凝固割れが抑制され、種結晶不要のため製造工程の簡素化の面でも有利だという。
これまで単結晶造形が報告されている電子ビーム方式は、装置自体が高価で、高真空が必要であり、運転コストも高いため、装置の普及率が低い問題があった。一方、より安価なレーザー方式の装置では、固液界面における結晶成長方向を一方向に制御することが難しく、得られる結晶は、異なる向きの結晶で構成される多結晶体となり、結晶粒界(結晶の粒の界面)が多く存在することが問題となっていた。
本研究成果は、アディクティブ・マニュファクチャリング・レターズ(Additive Manufacturing Letters)誌に2022年6月7日付けでオンライン掲載された。
-
- 人気の記事ランキング
-
- AI means the end of internet search as we’ve known it 「ググる」時代の終わり、 世界の知識を解き放つ 生成AI検索がもたらすもの
- Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 無料イベント「U35イノベーターと考える研究者のキャリア戦略」のご案内
- 10 Breakthrough Technologies 2025 MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版
- Anthropic’s chief scientist on 5 ways agents will be even better in 2025 アンソロピック主任科学者が語る「AIエージェント」4つの進化
- Driving into the future 「世界を変える10大技術」の舞台裏、2024年の誤算とは?