フラッシュ2022年6月28日
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IoT機器の熱を電源に、半導体微細加工で熱電素子=NIMSら
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]物質・材料研究機構(NIMS)、産業技術総合研究所、筑波大学の研究グループは、熱から発電する熱電素子を半導体微細加工で開発した。本体を超小型化しながら、出力電圧をIoT機器の駆動に必要な目安となる0.5V以上とした。
多くの電子機器内部では、駆動中に発生する熱の放出により、温度が著しく上昇する。こうした熱を利用した熱電変換を、IoT 機器が自立駆動するための電源やセンサーへ応用することが期待されている。
今回開発された熱電素子は、12ミリメートル角の領域内に36のπ(パイ)接合を形成した。p型層とn型層の幅はそれぞれ150μメートル、2つの層のすき間は20マイクロメートル。p型層の材料には、高い熱起電力と低い電気抵抗が特徴のII–IV族化合物熱電半導体を採用した。n型層には室温形成が可能なビスマス(Bi)を使用した。II–IV族化合物熱電半導体は、エピタキシャル薄膜を分子線エピタキシー法によってサファイア単結晶基盤上に形成。この薄膜試料をクリーンルーム内でフォトリソグラフィとドライエッチングで微細加工して、π型熱電素子を完成させた。
研究成果は、6月18日、「マテリアルズ・トゥデイ・エナジー(Materials Today Energy)」誌にオンライン掲載された。
(笹田)
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