フラッシュ2022年7月3日
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魚油由来の代謝物、肺高血圧症を抑制=慶應大
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]慶應義塾大学の研究チームは、魚油に含まれる「オメガ3脂肪酸」の代謝物である「エポキシ化オメガ3脂肪酸」が、肺血管の異常な線維化を抑え、肺高血圧症の進行を抑えることを明らかにした。肺高血圧症は肺動脈の狭窄から右心不全を起こす難病であり、有効な治療手段に乏しい。
研究チームはリピドミクス解析という、生体内に存在するさまざまなリン脂質、中性脂質、脂肪酸、そしてその酸化物を同時に測定する検査を実施。肺高血圧症の肺組織中に含まれる数百種類に及ぶ脂質成分を同時に測定し、オメガ3脂肪酸の酸化物の一つ、エポキシ化オメガ3脂肪酸が肺高血圧症の進行に従って減少することを見出した。
エポキシ化オメガ3脂肪酸の産生酵素であるPAF-AH2は、炎症細胞の一種である肥満細胞に強く表れていることが分かっている。さらに研究チームは、肺高血圧症患者262名の遺伝子情報を予測プログラムで解析し、Pafah2遺伝子に疾患と関連がある変異が2カ所存在することを明らかにした。
研究成果は5月31日、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)誌にオンライン掲載された。
(笹田)
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