フラッシュ2022年8月18日
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ヒナはなぜスピーカーではなく親鳥から歌を学ぶのか?=OIST
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究チームは、キンカチョウのヒナ(幼鳥)が歌を学習するときに親子の関わりの情報を伝える神経回路を明らかにした。高次聴覚野の神経細胞が歌の音の特徴に反応するのに対し、青斑核と呼ばれる領域の神経細胞は親が歌を唄うこと自体に反応しており、キンカチョウの社会的な関わりと音声学習を結びつけるために必要な神経回路となっていることが示された。
研究チームは、脳内の注意や覚醒レベルをコントロールしているとされる青斑核と呼ばれる領域に注目し、歌を学習しているキンカチョウのヒナの青斑核と高次聴覚野の神経活動を3~4日にわたって記録した。すると、青斑核の神経細胞も高次聴覚野の神経細胞も、親が実際に唄う歌声に対して、スピーカーから歌声を流した場合よりも活発に反応。さらに、ヒナが親の歌を聴いている時に青斑核と高次聴覚野の神経回路の働きを抑制すると、ヒナはいくら親の歌を聴いても上手に学習できないことが分かった。
歌を学習する鳥の一種であるキンカチョウのヒナは、通常親が唄う歌を聴き、これを学習する。スピーカーなどから親の歌を聴いても学習しないため、親子が直接関わって歌を聴くことが必要だと言われてきたが、脳がどのようにして、親子の社会的な関わりに基づいて歌学習を制御するのかという仕組みは分かっていなかった。
今回の研究成果は、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)誌に8月16日付けで掲載された。
(中條)
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