フラッシュ2022年10月17日
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「量子もつれ」を使う量子赤外分光で世界最大の広帯域測定=京大
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]京都大学の研究チームは、量子もつれ光を利用する「量子赤外分光」で、波長1.9~5.2マイクロメートル(1マイクロメートルは10-6メートル)という広い波長域に渡る分光(周波数ごとの強度測定)に世界で初めて成功した。
量子赤外分光は、可視域と赤外域に発生する「量子もつれ光子対」を利用することで、一般的なシリコン光検出器と可視域の光源のみを用いて、赤外域における分光を可能にする測定技術である。研究チームは今回、中赤外域で広い周波数帯域にわたって波長を変化させられる量子もつれ光源を独自に開発。発生する量子もつれ光子対の波長を徐々に変化させつつ、必要最低限の範囲で干渉縞を取得することで、赤外吸収スペクトルを高速に取得する方法を発案した。
量子赤外分光は、物質や分子の鑑別に幅広く利用されている赤外分光装置の大幅な小型化、高感度化、低コスト化を実現する可能性のある技術として注目されている。しかし、これまでの方法では、中赤外域で狭い波長範囲域(1マイクロメートル以下)しか測定できなかった。
今回の方法を用いることで、スマートフォンなどに搭載されたシリコン光検出器によって赤外吸収スペクトルが取得できるようになり、量子センシングの社会実装のさきがけとなるほか、環境モニタリングや、医療、セキュリティなど様々な分野への波及効果が期待されるという。研究成果は、フィジカル・レビュー・アプライド(Physical Review Applied)に2022年9月7日付けでオンライン掲載された。
(中條)
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