フラッシュ2022年10月17日
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阪大など、大規模ゲノムワイド解析で治療薬候補を探索する手法を実証
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]大阪大学、日本たばこ産業の研究グループは、複数人種集団を対象とした大規模ゲノムワイド解析を実施し、その結果から治療薬候補を探索する手法について提案・実証した。多人種を対象としたゲノムワイド解析の結果を創薬に活用する取り組みは初めて。
研究グループは、疾患リスク遺伝子を標的とする薬剤を、疾患リスク遺伝子が属する薬剤カテゴリーに基づいて探索する「疾患リスク遺伝子のエンリッチメント解析」、疾患の原因となるタンパク質を同定し、そのタンパク質を標的とする薬剤を探索する「メンデルランダム化解析」、疾患ゲノムによる遺伝子発現量制御を推定し、逆向きに遺伝子発現量を制御する化合物を探索する「遺伝子発現量制御の相関解析」の3つの手法で治療薬候補を探索した。
その結果、喘息、原発性開放隅角緑内障、痛風、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、静脈血栓塞栓症、甲状腺がん、腹部大動脈瘤、心不全、特発性肺線維症、脳梗塞、子宮体癌、急性虫垂炎、肥大型心筋症の13疾患を対象に、合計で268の治療薬候補を発見できたという。見つかった薬剤は、既存の治療薬と同一の薬剤カテゴリーに属するもので、今回の治療薬探索の手法では、的外れな結果を出しているわけではなく、適切な候補を探索していることが分かった。単一人種集団を対象としたゲノムワイド解析の結果から治療薬候補を探索した場合に比べて、今回のように複数人種集団を対象としたゲノムワイド解析の結果を利用することで、治療薬候補をより多く得ることができたという。
研究成果は10月13日、「セル・ゲノミクス(Cell Genomics)」誌にオンライン掲載された。
(笹田)
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