フラッシュ2022年11月15日
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筑波大、鉄筋コンクリート構造物の劣化度合いを予測する新手法
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]筑波大学の研究チームは、鉄筋コンクリートでできた建造物などの劣化度合いをひび割れ幅から予測する技術を開発した。従来は食塩水を混ぜたコンクリートを作ったり、鉄筋コンクリートの鉄筋に通電し、電位差で腐食させる電食実験などの手法で鉄筋コンクリートの劣化を評価していたが、これらの手法では評価に長い期間が必要で、意図したように劣化させることが難しかった。
研究チームはコンクリートと、その中を通る凹凸の付いた鉄筋(異形鉄筋)が付着し合う強さを示す「付着強度」、コンクリートの外面から見えるひび割れ幅の関係に着目。コンクリートにアルミパイプを埋め込み、そのパイプの中に破砕剤を充填して、意図的にコンクリートに0.1ミリメートル〜1.2ミリメートルのひび割れを発生させてから鉄筋を引き抜いて付着強度を計測した。これで、ひび割れ幅と付着強度の関係を示すデータを取得した。
さらに、鉄筋コンクリート内の横補強筋の量を変化させた実験を実施し、統計的に解析した結果、ひび割れ幅から残存する付着強度を求める予測式を考案した。
研究成果は10月13日、ケース・スタディーズ・イン・コンストラクション・マテリアルズ(Case Studies in Construction Materials)誌に掲載された。建設から40〜50年経過した鉄筋コンクリート構造物が多く残っており、維持管理にかかる手間やコストが問題になっている。今回開発した手法を利用すれば、コンクリートを削ることなく、見た目のひび割れ幅から鉄筋コンクリートの劣化度合いを予測できるため、老朽化した鉄筋コンクリート構造物の維持管理に役立つとしている。
(笹田)
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