フラッシュ2024年4月3日
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気候変動/エネルギー
レアメタル不使用の燃料電池用触媒デザイン=東北大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東北大学、北海道大学、東北大学発スタートアップ企業アジュールエナジー(AZUL Energy)の共同研究チームは、燃料電池の正極における酸素還元反応(Oxygen Reduction Reaction, ORR)用に、鉄を使った高活性な金属錯体触媒を発見した。
研究チームは今回、高価なPtを用いない「M-N-C触媒」の一種で青色顔料として知られる「金属アザフタロシアニン」誘導体触媒を合成。その触媒活性を水素イオン濃度(pH)に対して系統的に測定し、電場とpHの効果を組み合わせたシミュレーションで性能をベンチマークすることで、実験・理論の両面から高い触媒活性を示すORR触媒の探索指針を見出した。同チームは以前の研究で、特に鉄を中心金属として持つ「鉄アザフタロシアニン」がORR触媒として高い活性を示すことを明らかにしていた。
ORRは燃料電池の性能を決定する支配要因であり、その反応効率を向上させる触媒として白金炭素(Pt/C)が用いられている。しかし、資源制約や地政学的理由、高コストであることから、白金(Pt)を用いない触媒が求められている。今回の研究で明らかになったORR触媒の分子設計指針をベースにして触媒を設計し、Pt/Cの代替触媒として活用することで、より高性能で環境負荷・コストが低い燃料電池の実現につながることが期待される。
研究論文は、2024年3月15日に英国化学会のケミカル・サイエンス(Chemical Science)のオンライン速報版に掲載された。
(中條)
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