KADOKAWA Technology Review
×
【4/24開催】生成AIで自動運転はどう変わるか?イベント参加受付中

ニューズラインエマージング・テクノロジーの最新情報をお届け。

日米欧の大手銀行グループ、独自の暗号通貨発行へ
Flickr
A group of big banks plans to launch its own digital currency within a year

日米欧の大手銀行グループ、独自の暗号通貨発行へ

「USC(ユーティリティー・セトルメント・コイン)」という名前はあまりにも凡庸だ。だが、スイスのUBS銀行が主導しているこのプロジェクトは、現在進行中のブロックチェーン・プロジェクトとしてはもっとも野心的で、大きく期待されているものの1つである。USCが本当にブロックチェーンを使っているのならば、の話だが。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙によると、UBS銀行のほか、米国、欧州、日本の大手銀行を含む13の金融機関が、暗号通貨の開発を主導する新会社を設立した。合計およそ6300万ドルを新会社に出資し、銀行の国際送金取引をより迅速かつ安価にすることを目指している。このプロジェクトが初めて発表されたのは2015年のことだ。

技術的な詳細はほとんど明らかになっていないが、暗号通貨はブロックチェーンを基盤として開発されるはずだ。WSJ紙はこのトークンを「決済端末としての機能と、取引を完結するために必要なすべての情報を伝送するメッセンジャーとしての機能を兼ね備えています」と説明している。トークンは各銀行が中央銀行の口座に保有している法定紙幣によって裏付けられる。新会社「フィナリティ・インターナショナル(Finality International)」のロメオス・ラム最高経営責任者(CEO)はWSJ紙の取材に対して、USCは1年以内に「完全に運用が始まります」と述べている。

プロジェクトの参加企業は、ブロックチェーンのスタートアップ企業「クリアマティックス(Clearmatics)」と協力しており、USCはブロックチェーンが基盤になると話している。しかし、その本当の意味は分からない。ブロックチェーンまたは同じようなテクノロジーが何らかの役割を果たすのだろうが、2017年にフィナンシャル・タイムズ紙は「実際には、(金融)市場インフラ・ プロジェクトのような規模のブロックチェーン・プロジェクトではない」と報じている。さらに、ブロックチェーン純粋主義派は、銀行が管理し、銀行にしか開かれていないネットワークは、いくらブロックチェーンのようなテクノロジーを基盤にしているとしても、ブロックチェーンとは言えないと異議を唱えるだろう

マイク オルカット [Mike Orcutt] 2019.06.05, 18:15
10 Breakthrough Technologies 2024

MITテクノロジーレビューは毎年、世界に真のインパクトを与える有望なテクノロジーを探している。本誌がいま最も重要だと考える進歩を紹介しよう。

記事一覧を見る
MITテクノロジーレビューは有料会員制サイトです
有料会員になると、毎月150本以上更新されるオリジナル記事が読み放題!
【春割】実施中! ひと月あたり1,000円で読み放題
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る