米レラティビティ、3Dプリンター製ロケット打ち上げへ
これまでにケープカナベラル空軍基地の打ち上げ許可を得たおもな企業は、スペースX、ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(United Launch Alliance)、そしてブルーオリジン(Blue Origin)の3社だけだった。
だが現在、2015年創業のスタートアップ企業レラティビティ・スペース(Relativity Space)が、その一握りのグループに加わることとなった。米国空軍はケープカナベラル空軍基地の打ち上げ施設「ローンチ・コンプレックス16(LC-16)」からの打ち上げについてレラティビティ・スペースと合意し、必要となるインフラを基地内に構築することにも合意した。LC-16はこれまでタイタン・ミサイルの打ち上げ、アポロ計画、そしてジェミニ計画に使われている。
レラティビティ・スペースは2020年に「テラン-1(Terran-1 )」ロケットの実験をするべく準備を進めており、2021年には商業打ち上げを開始する予定だという。テラン-1ロケットは、縦6メートル・横3メートル の金属部品を作り出せるレラティビティ・スペースの大型金属プリンター「スターゲート(Stargate)」によっておもに製造される。テラン-1はレラティビティ・スペース初のロケットとして、1250キログラムのペイロード(積載物)を地球の低軌道内へ向けて送り込むことになる。
3Dプリンターによる製造プロセスを使うことによって、より低いコスト、より少ない部品、より早いスピードでロケットが製造できる。技術者たちはかつては不可能だった設計を生み出し、部品を組み合わせたりシステムを簡素化したりできる。
レラティビティ・スペースによると、テラン-1は従来のロケットと比べて圧倒的に早い、わずか60日で製造されるという。従来よりもおよそ100分の1の部品で製造されているからだ。製造プロセスの自動化によって、多くの人件費が削減される。3Dプリンターなどによる付加製造技術はまだ大量生産には向いていないが、 航空宇宙産業は少量・精密産業であり、ロケット部品の製造には理想的な技術なのだ。