
人工臓器のバイオプリントにも期待できるインクジェット印刷技術
印刷技術の進化は、エレクトロニクス分野において折り曲げられるディスプレイや電子回路の実現などの技術革新を起こした。新しい液体射出技術は、人工臓器や金属配線など印刷の可能性をさらに広げそうだ。
東京農工大学大学院工学研究院先端機械システム部門の田川義之准教授らが開発したのは、インクジェット・プリンターで蜂蜜のような高粘度の液体を射出可能にする技術だ。既存のインクジェット・プリンターは、液体を小さな穴から押し出すことで液体を射出するが、この方法では水のような粘り気のない液体しか利用できない。田川准教授らは、液体の入った容器に打撃を与えてインクの射出を高速化し、高粘度の液体をインクジェット・プリンターで利用できるようにした。
3Dプリンターや金属配線などに用いられる液体樹脂や金属、生体液など小さな粒子を含んだ液体など、従来の印刷技術ではピペットなどが必要だったケースでも非接触での射出が可能になる。医療分野では3Dバイオプリンターによる人工臓器の印刷が注目されているが、インクジェット・プリンターが利用できるようになれば、高速で安価な製造への応用も将来的に期待できそうだ。また、さまざまな液体を高速に射出する技術は、印刷以外にも無針注射器などにも応用できるという。
- 参照元: 東京農工大学
