米国で人気の天気アプリ、収集した位置情報を第三者に販売か
ロサンゼルス市が、ウェザー・チャンネル(The Weather Channel)を相手取り、ユーザーの同意なしに位置データを収集、共有、販売しているとして訴えている。
先週末に申し立てられた訴訟は、IBMの子会社であるTWCプロダクト&テクノロジー(TWC Product and Technology)に対するものだ。天気予報のパーソナライズにだけ利用すると信じこませながら、ユーザーの個人的な位置情報データを何年にもわたって追跡、蓄積してきたとしている。さらに、このデータを広告やその他の商業目的のためにIBMや他の(不特定の)第三者と共有したとの主張だ。原告側は提訴にあたり、「TWCはユーザーが知らないところでユーザーの位置情報データを蓄積し、そこから収益を得ることを中核事業としている」と指摘。TWCは、位置情報データの使用については常に透明性を担保しているとCNNに語り、異議を唱えている。
ウェザー・チャンネルだけではない。ニューヨーク・タイムズ紙の最近の記事では、多くの天気予報アプリが、最高値を付けた業者に対して位置情報データを売却して収益を得ていると、その実態を明らかにしている。ウェザーバグ(WeatherBug)とアキュウェザー(Accuweather)もデータを第三者に販売している。つい先週には、「天気予報 – 世界気象精密レーダー(Weather Forecast-World Weather Accurate Radar)」と体裁良く名付けられた別の天気予報アプリが、位置情報だけでなくモバイル機器のIMEI識別番号までも収集していることが発覚している。
自分のデータが絶えず掃除機でほこりを吸い込むように集められていることを知っている多くの人にとって、今回のニュースはさほど驚くものではないかもしれない。だが、非常に多くの人々が、手動で場所を入力するほんの数秒の手間を惜しんで、GPSデータへの企業のアクセスを積極的に許可していることは注目に値する。企業側の巧妙なデータ活用を支持するわけではないが、そもそもどれだけのデータをちょっとした利便性と引き換えに渡しているのか、もっと真剣に考える時がきているのではないだろうか。