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古くなった衛星を「延命」、軌道上でのドッキングに成功
Northrop Grumman
Two commercial satellites docked in orbit for the first time ever

古くなった衛星を「延命」、軌道上でのドッキングに成功

ノースロップ・グラマン(Northrop Grumman)のミッション延長機「MEV-1(Mission Extension Vehicle-1)」は、2月25日、通信事業者インテルサット(Intelsat)の通信衛星「901」との軌道上でのドッキングに成功した。2基の商業衛星が軌道上でドッキングしたのは史上初めて。

打ち上げから19年が経過しているインテルサット901は、最近、活動中の人工衛星群から離れ、静止軌道から約300キロメートルの高さの「墓場軌道」に移さた。これは、インテルサット901が正常に機能しなくなったからではなく、燃料が残りわずかとなったため、やがて機体を制御できなくなると考えられたからだ。

MEV-1は、ノースロップ・グラマンの新しい人工衛星サービス計画の一環として開発されたものだ。燃料が残りわずかとなった他の人工衛星とドッキングし、搭載したスラスター(軌道修正用の小型ロケット・エンジン)と燃料を利用して操縦と軌道修正プロセスを引き継ぎ、人工衛星のミッションの期間を少なくとも数年間延長するように設計されている。

多くの企業は、故障した人工衛星の修理や寿命の延長、活動中の人工衛星と衝突する恐れがある物体の軌道上からの除去など、さまざまな人工衛星サービスへのアプローチを追求している。通常、静止衛星のミッション延長機は、静止軌道上の人工衛星に対し15年間サービスを提供するように設計されている。また、アストロスケール(Astroscale)などの企業は、低軌道上で磁気プレートを利用してスペース・デブリ(宇宙ゴミ)を収集し、地球の大気圏まで牽引し焼却するデブリの除去方法を開発中だ。

MEV-1は3月にスラスターを噴射して、インテルサット901を墓場軌道から静止軌道に戻し、インテルサット901が通常のミッションを再開できるようにする予定だ。5年後、MEV-1はインテルサット901を再び墓場軌道に戻し、寿命の延命を必要とする別の人工衛星とランデブーする可能性がある。 ノースロップ・グラマンは今年後半にMEV-2を打ち上げ、別のインテルサットの衛星にサービスを提供する予定だ。また同社は、軌道上の人工衛星へのより小規模な衛星サービスのニーズに対して、ミッション延長「ポッド(補助燃料タンク)」群の開発にも取り組んでいる。

ニール・V・パテル [Neel V. Patel] 2020.02.29, 6:39
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