KADOKAWA Technology Review
×
マガジン刊行記念「Vol.1 AI Issue」を新規購読でプレゼント。
さらに割引も。
読者からの質問:増え続ける「宇宙ゴミ」の解決策はありますか?
MS.TECH
Is there anything we can do to tackle space debris?

読者からの質問:増え続ける「宇宙ゴミ」の解決策はありますか?

地球の周回軌道上には、たくさんのスペース・デブリ(宇宙ゴミ)が存在し、その多くは追跡・監視されていない。何らかの対処方法はあるのだろうか。 by Neel V. Patel2019.10.24

宇宙に関するニュースレター「ジ・エアロック(The Airlock)」には毎週、宇宙担当のニール・V・パテル記者宛に読者から質問が届く。今回は、スペース・デブリ(宇宙ゴミ)についての質問にお答えしよう。

読者からの質問

「地球のゴミを宇宙へ送ることに関する前回の質問(編注:ニュースレターにのみ掲載されている)で、地球を周回する軌道上にはかなりの数のデブリがあること、そして、その多くが追跡・監視されていないことがわかりました。1つの衝突が連鎖反応を引き起こし、人類はほとんど永遠に地球に閉じ込められることになる、という破滅的な予測をよく目にします。スペース・デブリに対処するためのテクノロジーはすでに存在するのでしょうか、また、人々の問題意識を高めたり、それを可能にしたりするために、何かできることはないのでしょうか」(エミリーより)

ニール記者の回答

スペース・デブリは最近、多くの人が気にかけている問題で、私もその1人です。まずは、悪いニュースからお伝えしなければなりません。今のところ、現在地球を周回しているデブリのほとんどについて、対処できる方法は実在しません。しかし、いくつか例外はあります。機能している人工衛星に、作動する推進装置が装備されていれば、それを使って低軌道へと下降させられます。低軌道に配置された衛星はいずれ、地球大気圏へと落下して燃え尽きるでしょう。多くの衛星運用企業はすでに、所有する地球低軌道衛星が、ミッション完了後にそうなるようなプランを立てています。より高軌道にある人工衛星の場合は通常、さらに遠くの「廃棄物置き場」軌道へと送ります。そこは地球から遠く離れているので、他の物体に衝突したとしても、現実的な脅威にはなりません。

だが、これらの考察はさておき、ほとんどのデブリは、まったくのゴミと同じように、地球の周りをただ勢いよく周っているだけです。こういった物体は、大きなもので野球のボールほど、小さなものでペンのキャップほどです。こういったものを制御して安全な軌道外へと移動させる方法はありません。ただ、時間が経つにつれ、自然に大気圏へと落下することがあり、そういったガラクタのほとんどはそうなります。ただし、保証はありません。

次は、良いニュースです。さまざまなグループが、多種多様なテクノロジー・コンセプトで対処方法について取り組んでおり、いくつかの展望があります。特に、今後の10年間にわたって、さらに多くの衛星群(コンステレーション)が打ち上げられ始めるからです。アストロスケール(Astroscale)という日本の会社は、機能していない人工衛星を探し出し、他の衛星にぶつかりそうな場所から引きずり出すことを考えています。スイスの科学者らも、同様のテクノロジーを研究しており、近い将来、デモ機を打ち上げる計画です。さらに極端な(また非常に非現実的な)方法として、アブレーション(表面の構成物質を爆発的に放出させる現象)を引き起こすレーザー光をデブリに照射して軌道から追い出したり、大気圏に落下して燃え尽きるように減速させたりするというものもあります。

現時点でできる最善のことは、追跡・監視テクノロジーにもっと投資することです。こういったテクノロジーを使えば、軌道上で物体同士が衝突しそうになったり、衝突の危険が差し迫ったりした場合に、注意を喚起できます。さらに、ミッション終了時に人工衛星を軌道から確実に撤去するよう、衛星運用企業への規制をより強化すべきでしょう。

人気の記事ランキング
  1. The human cost of a WeChat ban: severing a hundred million ties 中国と世界をつなぐ 「ウィーチャット禁止」の 深刻すぎる影響
  2. The AI optimization group's challenge: Innovation in infrastructure 屈指のAI最適化集団が挑む
    「インフラ」のイノベーション
  3. A college kid’s fake, AI-generated blog fooled tens of thousands. This is how he made it. 大学生がGPT-3で偽記事を作ってニュースサイトで1位になった方法
  4. It’s too late to stop QAnon with fact checks and account bans SNSで存在感増す陰謀論、 「Qアノン」とは何か?
  5. IBM has built a new drug-making lab entirely in the cloud 化学実験を在宅で、IBMがロボット+AIでクラウド新サービス
ニール・V・パテル [Neel V. Patel]米国版 上級記者
現在編集中です。
10 Breakthrough Technologies 2020

気候変動から量子コンピューティング、人工衛星群まで。
MITテクノロジーレビューが選んだ、世界を変える10大テクノロジー。

記事一覧を見る
人気の記事ランキング
  1. The human cost of a WeChat ban: severing a hundred million ties 中国と世界をつなぐ 「ウィーチャット禁止」の 深刻すぎる影響
  2. The AI optimization group's challenge: Innovation in infrastructure 屈指のAI最適化集団が挑む
    「インフラ」のイノベーション
  3. A college kid’s fake, AI-generated blog fooled tens of thousands. This is how he made it. 大学生がGPT-3で偽記事を作ってニュースサイトで1位になった方法
  4. It’s too late to stop QAnon with fact checks and account bans SNSで存在感増す陰謀論、 「Qアノン」とは何か?
  5. IBM has built a new drug-making lab entirely in the cloud 化学実験を在宅で、IBMがロボット+AIでクラウド新サービス
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る