ウェイモ、自律自動車の運転データを研究者と一部共有へ
アルファベット(グーグル)傘下の自律自動車会社であるウェイモ(Waymo)は、自社の車両から収集した情報の一部を、より広範な研究コミュニティに提供すると発表した。
ウェイモによれば、同社は車両から収集したデータの一部を無料で共有し、自律運転に取り組む他の研究者が使用できるようにするという。もっとも、こうした取り組みをする企業はウェイモが初めてではない。リフト(Lyft)やアルゴAI(Argo AI)などはすでに、一部のデータセットをオープンソース化している。それでもウェイモの動きは注目に値する。同社の車両は公道においてすでに1000万マイル(1610万キロ)以上の距離を走行しているからだ。
人間の運転手と異なり、自律自動車には世界を直感的に理解する能力がない。その代わり、こうした車両は訓練データを頼りに、遭遇する可能性のある状況やそうした状況にどう反応すればよいかを学ぶ。人工知能(AI)モデルの訓練に必要なデータの質は、高ければ高いほどよいのだ。
ウェイモのデータセットには、20秒の連続運転のデータをキャプチャしたセグメントが1000個含まれている。データを取得した場所は、カリフォルニア州サンフランシスコ、同州マウンテンビュー、アリゾナ州フェニックス(ウェイモが小規模のロボタクシーサービスを開始した場所だ)、ワシントン州カークランドの4箇所だ。データを取得するのに用いたセンサーは、カメラやレーダー、近くの物体にレーザーを当てて周囲の3Dマップを作成する「ライダー(LIDAR:レーザーによる画像検出・測距))」など複数にわたる。ありがたいことにこのデータセットでは、歩行者、自転車、信号といった物体をウェイモがすでにラベル付けしているので、他の研究者が単調でつらい作業をしなくても済む。
今回のウェイモの動きはある程度賞賛に値するが、共有するのは収集した情報のほんのわずかにすぎない。他の企業も競争上の理由でデータを秘蔵しており、特に事故やニアミスに関する情報の共有には消極的だ。だが、この業界が自律自動車の安全性に対する懸念を克服したいのであれば、自社が学んだことの透明性をもっとはるかに高める必要が出てくるだろう。