KADOKAWA Technology Review
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現代の賞金稼ぎ
「バグハンター」の仕事で
メシは食えるのか?
Courtesy of Evan Ricafort
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Life as a bug bounty hunter: a struggle every day, just to get paid

現代の賞金稼ぎ
「バグハンター」の仕事で
メシは食えるのか?

ソフトウェアに潜むバグを発見し、企業に報告することで賞金を得る「バグハンター」という新しい仕事が生まれている。現代の「賞金稼ぎ」で生活することはできるのか。あるバグハンターの暮らしを紹介する。 by Erin Winick2018.08.27

在宅で仕事をしているエヴァン・リカフォートの家は、フィリピンの高速道路沿いにある。両親と同居しているリカフォートにとって、自分の部屋がオフィスだ。イピル南部の街でコンビニエンスストアを経営しているエヴァンの両親は毎日仕事に出かけていくが、22歳のリカフォートは自分の部屋にあるド派手なコンピューターに向かって、多いときには週75時間黙々と作業に打ち込む。バイクや犬の吠え声、赤ん坊の鳴き声に囲まれながらリカフォートが守っているのは、あなたの個人データかもしれない。

リカフォートは、バグハンターだ。バグハンターとは、世界有数のテック企業が開発・所有しているソフトウェアの脆弱性を、悪人に利用される前に見つけだす作業をしている人々を指す。いわば、善良なハッカーというわけだ。当然ながら、ボランティアではない。多くの企業は、自社のビジネスに重要なコードをより強固なものにするために、バグハンターに対して報酬を支払っている(場合によってはかなりの金額を支払うこともある)。「バグ賞金稼ぎ」という新たな職業が台頭しつつあるのだ。

だが、リカフォードはコンピューター科学やコーディングの専門職学位は持っていない。友人の一人がバグハンターとして報酬を得ているという話を聞いたリカフォートは、インターネットでセキュリティ研究者のブログを読み、ひたすら動画を見てその仕組みを独学で学んだ。最初の報酬は「無名企業のバグを見つけて得たもので、金額は50ドル程度にすぎなかった」という。しかしハンティングのスリルに魅了されたリカフォードは、2014年にバグハンターをフルタイムの仕事にすることに決めた。

当初は家族や友人の理解を得られなかったが、自 …

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