KADOKAWA Technology Review
×
Innovators Under 35 Japan 2026 候補者募集開始!
Brain-Training Apps Won’t Make You Smarter ...

脳トレアプリに効果なし
参照研究にも問題あり

スコアの向上はゲームが上手くなっていることの指標でしかない。 by Jamie Condliffe2016.10.05

脳トレアプリは、脳に楽しさや気晴らし以上の訓練効果があり、認識能力を根本から確実に進歩させると宣伝している。しかし、誰もが心の中で疑問に思っていることがある。脳トレは本当に効果があるのだろうか。

ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)によれば、7人の心理学者が2年を費やし、ルモス・ラボポジット・サイエンスといった世界をリードする脳トレアプリの開発元が参照する374の科学的研究について調査した。

結果はどうだったか? 研究者によると、脳トレ系のゲームをすれば、ユーザーは明らかにゲームをプレイするのは上手になる。しかしサイコロジカル・サイエンス・イン・ザ・パブリック・インタレスト誌(PSPI)に掲載された研究によれば「トレーニングによって、関係する作業のパフォーマンスが上がったり、普段の認識能力が改善されたりする証拠はほとんどない」という。

Lumos Labs's game, Lumosity, includes tests designed to measure your attention.
ルモス・ラボのゲーム「ルモシティ」には、プレイヤーの注意力を計測するテストがある

PSPI掲載の調査では、参照先の研究それ自体に問題があり、多くの研究は明確な結論を引き出せないようになっていた。最終的な結論はかなり明確だ。

「脳のトレーニングは現実世界の認識能力を高める効果的なツールだ、という主張を正当化する十分な証拠はいまだに現れていない」

PSPIの研究は他のアカデミックな心理学者に好意的に受け入れられた。アトランティック誌への回答でノースカロライナ大学のマイケル・ケイン教授は研究成果を「偉業」と呼び、オレゴン大学のウルリッヒ・マイア教授は「抜け落ちているものは何もありません(略)証拠は当然です」と述べた。

アプリのメーカーは予想通り、やや弁明的だ。USAトゥデイ誌に対し、ルモス・ラボのエリカ・ホウ(広報担当)は、脳トレーニングのソフトウェアは「何十年にもわたり発展してきた研究を活用していますが(略)新規かつ急速にイノベーションが起きている分野の最先端では(略)弊社がまだ知らないことはたくさんあります」といった。

デイリーニューズ紙の記事でヴァージニア大学のダニエル・ウィリンガム教授(心理学)は、研究成果を一般人向けに手際よくまとめている。「あなたは少し頭の回転が遅くなったと心配する年老いた父親に何と言うべきでしょうか? 活発な精神状態を維持するのは、いつでもいい考えです。もしゲームを楽しむのが好きなら、ゲームをプレイしても害はありません。しかし単純な作業で頭がよくなることは、願望であって現実ではありません」

(関連記事:NPR, The Atlantic, Psychological Science in the Public Interest, “Brain Training May Help Clear Cognitive Fog Caused by Chemotherapy”)

人気の記事ランキング
  1. It’s time to address the looming crisis in entry-level work. 「コーディングを学べ」もう通用せず、AIが若者の雇用を奪い始めた
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2026 「Innovators Under 35 Japan」2026年度候補者募集のお知らせ
  3. Anthropic’s Code with Claude showed off coding’s future—whether you like it or not 「Claudeに任せてしまおう」 たった1年で激変したソフトウェア開発
タグ
クレジット Image courtesy of Lumosity
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
▼Promotion
社会実装都市「ひろしま」の魅力に迫る ローカル ✕ イノベーション
MITテクノロジーレビューが選んだ、AIの10大潮流 [2026年版]

AIをめぐる喧騒の中で、本当に目を向けるべきものは何か。この問いに対する答えとして、MITテクノロジーレビューはAIの重要なアイデア、潮流、新たな進展を整理したリストを発表する。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る