KADOKAWA Technology Review
×
「ヒト生殖細胞の編集は停止を」CRISPR専門家らが呼びかけ
ニュース 無料会員限定
CRISPR experts are calling for a global moratorium on heritable gene editing

「ヒト生殖細胞の編集は停止を」CRISPR専門家らが呼びかけ

遺伝子編集技術の第一人者たちが、ヒト生殖細胞に対する遺伝的な改変を目的とした遺伝子編集を、世界規模でいったん停止することを求める公開書簡を発表した。ゲノム改変は将来の世代に予期せぬ結果をもたらす可能性もあり、現在の知識に基づいて生物の種を作り変えようとするのは思い上がりだという。 by Niall Firth2019.03.19

2015年12月に開催された第1回ヒトゲノム編集国際サミットの後、ある声明が発表された。安全性が確実になるまで、遺伝子を改変した子どもを誕生させることは「無責任である」ということに、主催者らが全会一致で合意したというものだ。

しかし、その声明は効果がなかったようだ。MITテクノロジーレビューは昨年11月、中国人科学者の賀建奎(フー・ジェンクイ)准教授(当時)が、ヒト胚にゲノム編集を施して、遺伝子を改変した双子を誕生させたことを明らかにした。現在、人間の能力を強化するために、このテクノロジーを積極的に利用しようとするグループもある。

このような状況を踏まえて、遺伝子編集分野の著名な科学者たち(2015年の声明に署名した者も含まれる)が、遺伝的な改変を目的に精子や卵細胞を編集するすべてのヒト生殖細胞編集を世界的に一時的に停止するよう呼びかけた。

3月11日付けのネイチャー誌の公開書簡で、エマニュエル・シャルパンティエ教授、エリック・ランダー教授、フェン・チャン教授などクリスパー(CRISPR)の開発分野の第一人者たちが、7カ国の同僚らとともに、取り扱い方針について国際的な枠組みが合意されるまでヒト生殖細胞編集を完全に禁止することを求めた。5年間の停止期間を設けるのが「適切であろう」と提案している。米国立衛生研究所(NIH)もこの呼びかけを支持している。

公開書簡に署名した人たちは、自発的に世界規模でヒト生殖細胞編集を停 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中! ひと月あたり1,000円で読み放題
10 Breakthrough Technologies 2024

MITテクノロジーレビューは毎年、世界に真のインパクトを与える有望なテクノロジーを探している。本誌がいま最も重要だと考える進歩を紹介しよう。

記事一覧を見る
気候テック企業15 2023

MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」は、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する、あるいは地球温暖化の脅威に対処できる可能性が高い有望な「気候テック企業」の年次リストである。

記事一覧を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る