KADOKAWA Technology Review
×
夏割実施中!購読料20%オフ。
長期の宇宙滞在はどう影響?
双子飛行士から分かったこと
NASA | Image edited by MIT Technology Review
カバーストーリー Insider Online限定
The first study of a twin in space looks like good news for a trip to Mars

長期の宇宙滞在はどう影響?
双子飛行士から分かったこと

双子の宇宙飛行士のおかげで、人類は初めて、長期間の宇宙滞在で人体がどのように反応するのかを解明するデータを手に入れた。 by Erin Winick2019.08.05

3年前、米国のスコット・ケリー宇宙飛行士は地球に帰還した。2016年3月1日に国際宇宙ステーションから帰還したケリー宇宙飛行士は、医療用顕微鏡のもとで米国最高記録となった340日間の宇宙滞在を終えた。かつて宇宙飛行士であった、双子の兄弟であるマーク・ケリーに対しても、地球上で似たような詳細な調査が実施された。この2人のおかげで、長期間の宇宙滞在が人体に与える影響を調べる珍しい機会が得られた。この調査結果からは、たとえば火星などへの宇宙旅行で何が起こり得るかを垣間見ることができる。

3年以上が経過したいま、微小重力や放射線、宇宙環境がケリー宇宙飛行士の体にどのように影響したのかが明らかになってきた。多くの研究者による最初の調査結果が4月12日付のサイエンス誌で発表され、人類が宇宙を拠点とする未来が期待できることを伝えた。米国航空宇宙局(NASA)双子研究の主任研究員であるコーネル大学のクリス・メイソン教授は、「宇宙飛行士になることに興味がある人や宇宙飛行にとっては、とても良いニュースです」と述べる。「体に多数の変化が見られた一方で、地球上でまた正常な状態に戻れるという驚くほどの柔軟性も示されています」。

この調査では、免疫システム(地球上と同様の働きが見られた)や眼球の形(ケリー宇宙飛行士の網膜神経は厚くなっていた)など、多くの生物学的マーカーが調べられた。そして、DNAや遺伝子発現を詳しく調べることにより、2つの目立った変化が明らかになった。

コロラド州立大学のスーザン・ベイリー教授らは、ケリー宇宙飛行士のテロメア(染色体末端粒子)と、関連する酵素テロメラーゼに焦点を当てて観察した。テロメアはDNAの末端にあり、通常その長さは年齢や健康状態を表す。老化やストレス、放射線などによって短くなることがある。

ベイリー教授らは、宇宙飛行によってストレスを与えられ放射線にさらされるので、ケリー宇宙飛行士のテロメアは短くなると予測していた。「実際はその逆でした」とベイリー教授は言う。「ケリー宇宙飛行士が宇宙に発ってから2週間以内に採取したサンプルを調べるとすぐに、出発前より …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【夏割】実施中!年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. What’s behind this summer’s heat, and why 2027 could be worse 記録ずくめの猛暑の夏、しかし本番は来年かもしれない
  2. Scientists just created female clones of male mice オスのマウスからメス作製、日本チームが遺伝子編集で性逆転に成功
  3. Flock is tightening its rules in response to a growing surveillance backlash 警察官がストーカー目的で悪用、米車両監視大手の規則強化は効くか
MITテクノロジーレビューが選んだ、AIの10大潮流 [2026年版]

AIをめぐる喧騒の中で、本当に目を向けるべきものは何か。この問いに対する答えとして、MITテクノロジーレビューはAIの重要なアイデア、潮流、新たな進展を整理したリストを発表する。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る