KADOKAWA Technology Review
×
7/30イベント「バイブコーディングの正体——AIエージェントはソフトウェア開発を変えるか?」申込受付中!
人工知能(AI) Insider Online限定
A tiny four-winged robotic insect flies more like the real thing

超軽量アクチュエーターで実現、「4枚の羽」で飛ぶ昆虫型ロボット

4枚の羽ばたく翼を持つ95グラムの昆虫型ロボットを南カリフォルニア大学のチームが開発した。飛行ロボットは、2翼よりも4翼の方が姿勢などの制御が容易で素早く動けるが、翼が増える分だけ重量が増してしまう。研究チームは、翼を動かすアクチュエーターを大幅に軽量化することで、この課題を解決した。 by Emerging Technology from the arXiv2019.05.20

昆虫の多くは、力強く、俊敏に飛ぶ。その理由の一つが、多くの昆虫が持つ4枚の翅にある。これらの翅により、飛行方向や、縦揺れ、横揺れ、偏揺れを調整する向きの微妙なコントロールが可能となる。

近年、空気力学者やエンジニア、ロボット工学者は昆虫の飛び方を真似した小型の飛行ロボットを作ろうとしてきたが、分かったことと言えば、こうしたロボットを作るのはとても難しいということだった。

「ロボビー(RoboBee)」は、これまでに作られた最小の飛行ロボットの一つだ。ロボビーは2枚の羽ばたく翼で推進する。それぞれの翼は小型のアクチュエーターによって動く。実際、ロボビーが実現したのは、1個25gの重さしかない小型のアクチュエーターが開発されたおかげだ。

しかし、ロボビーには問題があった。理論的には、ロボビーの2枚の羽ばたく翼は飛行の制御に必要な力を生むことができるはずだった。しかし、実際には、ロボビーは片揺れをコントロールするのに必要な力を発生できなかったため、揺れを起こして制御不能になることがしばしばあった。

もっと良い設計ができれば、本物の昆虫のような4枚の羽ばたく翼を持つ昆虫サイズのロボットを作れただろう。しかし、そうしたロボットを実現するには、アクチュエーターを大幅に軽くする必要があった。

この問題を解決したのが、ロサンゼルスにある南カリフォルニア大学の大学院生シューフェン・ヤンたちのチームだ。彼らは従来の半分ほどの重さのアクチュエーターを開発し、このアクチュエーターを4つ用いて、幅33ミリメートルほどの羽ばたく翼を4枚持つロボットを作った。ヤンたちが作った「ビープラス(Bee+)」と呼ばれる昆虫型の飛行ロボットは、止まったり、 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. What comes next for AI copyright lawsuits? AI著作権訴訟でメタとアンソロピックが初勝利、今後の展開は?
  2. Promotion MITTR Emerging Technology Nite #33 バイブコーディングって何だ? 7/30イベント開催のお知らせ
  3. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2025 「Innovators Under 35 Japan」2025年度候補者募集のお知らせ
  4. Why the US and Europe could lose the race for fusion energy 核融合でも中国が優位に、西側に残された3つの勝機
  5. Don’t let hype about AI agents get ahead of reality 期待先行のAIエージェント、誇大宣伝で「バブル崩壊」のリスク
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る