KADOKAWA Technology Review
×
「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集中!
2048ビットRSA暗号は量子コンピューターでいつ破られるか?
Steve Jurvetson | Flickr
コンピューティング Insider Online限定
How a quantum computer could break 2048-bit RSA encryption in 8 hours

2048ビットRSA暗号は量子コンピューターでいつ破られるか?

量子コンピューターによって将来、現在一般的に使われている暗号が解読されるのは数十年先とされてきた。しかし、新たな研究によって、従来の予想よりも早く、暗号が解読されてしまう可能性が出てきた。 by Emerging Technology from the arXiv2019.06.04

量子コンピューターによって、メッセージを安全に送信するのに使われる特定の暗号が破られるのではないかと多くの人が心配している。問題となっているのは「落とし戸」関数と呼ばれる、一方向への計算が簡単で、逆方向への計算が難しい関数を使った暗号化コードである。落とし戸関数を使うことで、データを簡単に暗号化ができる一方で、特殊な鍵を使わない限り、暗号を解読するのは非常に難しくなる。

このような暗号化システムは絶対に解読不可能というわけではない。暗号のセキュリティの裏付けとなるのは、古典的コンピューターで解読を試みた場合に膨大な時間がかかることである。現代の暗号化方法は、解読が事実上不可能になるほどの時間を費やさなければ解読できないように設計されているのだ。

しかし量子コンピューターにより、このアイデアは覆されてしまう。量子コンピューターは古典的コンピューターと比べてはるかに強力なため、こうした暗号をたやすく解読できるとされているのだ。

ここで重要な問題が持ち上がる。それは、量子コンピューターの性能がその域に達するのはいつになるのかということだ。その時が来れば、先述のような暗号化方式で守られているデータはどれも安全ではなくなってしまう。

そのためコンピューター科学者は、それほどの性能を持つ量子コンピューターがどれほどのリソースを必要とするかを計算し、開発までにかかる時間を割り出そうと試みてきた。そして出てくる答えは常に、「実現は数十年先」というものだった。

しかし今となっては考えを改めるべきだろう。その根拠となるのはサンタバーバラのグーグルに務めるクレイグ・ギドニーと、スウェーデンのストックホルムにあるスウェーデン王立工科大学のマーティン・エケラの研究だ。彼らは量子コンピューターで暗号を解読するための効率的な方法を発見し、必要なリソースを何桁という単位で削減することに成功した。

結果として、量子コンピューターはかつて誰も予想しなかったほど実現へと近づいている。この研究結果は、政府や軍、セキュリティ企業、銀行、そしてこの他にもデータを25年以上安全に保管する必要のある人にとって胃の痛くなるような話となるだろう。

まずは背景を説明しておこう。1994年に米国の数学者ピーター・ショアが、古典的アルゴリズムよりも優れた量子アルゴリズムを発見した。ショアの発見した、大きな数字を素因数分解するアルゴリズムは、落とし戸関数を使った暗号を破る上で非常に重要な要 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. AI can make you more creative—but it has limits 生成AIは人間の創造性を高めるか? 新研究で限界が明らかに
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2024 「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集のお知らせ
  3. Interview with Prof. Masayuki Ohzeki: The Future of Quantum Computer Commercialization and the Qualities of Innovators 量子技術を最速で社会へ、大関真之教授が考えるイノベーターの条件
  4. AI companies are finally being forced to cough up for training data 「訓練データはタダではない」音楽業界が問う生成AIの根本的問題
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る