スマホが視覚障害者の目に、バルセロナに広まる新しい点字
街中に貼られたカラーコードへ向けてスマホのカメラを一振りするだけで、周囲の情報を音声で知らせてくれるシステムがバルセロナの街に広まっている。ピントを合わせる必要がないなど、QRコードよりも使い勝手に優れているという。 by Frank Swain2019.06.13
この数カ月の間、バルセロナの地下鉄には一風変わったステッカーが広まっている。まるで崩れた「スペース・インベーダー(Space Invader)」のように、縦横5つずつのマス目にカラフルな四角形が積み重なった黒いステッカーだ。
市内のバス、電車、トラム(路面電車)、それにモンジュイックの丘の急斜面を登るケーブルカーの改札やホーム、エスカレーター、切符売り場、インターフォン、通路付近にこのタグは貼られている。
これは野心的なグラフィティ・アーティストによる作品——ではなく、バルセロナ交通局(TMB)が始めた新しいプログラムだ。その狙いは、市内数千人の視覚障害者の移動を誘導することにある。
このシステムは、アリカンテ大学モバイル・ビジョン学術研究所(Mobile Vision Research Lab)がスペインのスタートアップ企業「ナビレンズ(NaviLens)」が共同で開発した。視覚障害者がスマートフォンのカメラと無料アプリを使って(QR)コードをスキャンすれば、保存されている情報を聞くことができる。
公共交通機関の時刻表から、避けるべき障害物、周囲の環境の物理的特徴まで分かる。利用者は白紙のタグをダウンロードし、カスタマイズして使うこともできる。たとえば、食品の箱にラベルをつけたり、個人的な記録をしたりと、好きなように使えるのだ。
これは新しいアイデアではない。あまり評判はよくないQRコードを使ったアイデアは1994年頃か …
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