生態学が解き明かす、マーベル映画が大ヒットを続ける理由
アメコミのヒーローたちが活躍する映画シリーズ「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」が大成功している秘密は何だろうか。オーストラリアの大学の研究者たちが、自然生態系の異種間の相互作用を分析するために開発された数学的ツールを用いて、同シリーズのヒット作品の秘密を探った。 by Emerging Technology from the arXiv2019.07.16
スパイダーマンやアイアンマンなどのマーベル・コミック(Marvel Comics)のアメコミ・ヒーローたちが登場する映画シリーズ「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」が史上最も成功した映画フランチャイズであることは間違いないだろう。MCUは、マーベル・コミックに登場するキャラクターたちのフランチャイズに基づいて製作されており、ヒーローたちが活躍する世界を共有している。この10年間で、20本以上の作品が作られ、合計で60億ドルをはるかに上回る収益を生み出している。
MCU作品がこれほどヒットする理由は何だろうか。多くの要因があることは明らかだが、重要なのは、それぞれのキャラクターの性質とキャラクター間の相互関係の複雑性だ。しかし、このような相互関係の特徴を明らかにできるような手段がほとんど存在しないため、そうした点について研究するのは難しかった。
この問題に取り組んだのが、オーストラリアの数学者であるアデレード大学のマシュー・ローガン教授たちのチームだ。ローガン教授らは、生態学の分野には異種間の相互作用を研究する数学的ツールが以前から存在していることを指摘し、そのツールを用いてMCUに関する独自の洞察を述べている。
背景となる知識から説明しよう。生態学における主な課題の1つに、あらゆる生態系に存在する複雑に絡み合う相互関係において、異なる種の役割を決定することがある。しかし、種の数をただ数えるだけでは、複雑性を明らかにするのにほとんど役に立たない。実際、計数の過程で重要な主体を見落としたり他の主体の数を誇張したりしたら、実態を覆い隠してしまう可能性がある。
その代わりに、生態学者は種の間の相互作用に焦点を合わせる。そうすれば、シャノンのエントロピーに基づく有名な数学的ツールを用いて、種の間の相互作用の数から、それぞれの種の重要性を決定できる。この過程によって、各相互作用の情報量を本質的に、全体に占める割合として決められる。
映画の世界の分析においても、同様の問題が存在する。一見、キャストの規模はクレジットに表示される俳優たちのリストに等しいように思えるが、クレジットされるリストの作成方法に関する基準は存在しない。台詞が …
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