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人工衛星が
「全世界常時監視カメラ」
になる日はやってくるか
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Soon, satellites will be able to watch you everywhere all the time

人工衛星が
「全世界常時監視カメラ」
になる日はやってくるか

商用の人工衛星画像の解像度は年々向上し、撮影頻度も増加している。米国の規則では商業衛星によって撮影された画像の地上解像度を25センチメートルに制限して匿名性を確保しているが、いずれどこにいても四六時中人工衛星に監視される日がやってくるかもしれない。 by Christopher Beam2019.10.17

2013年、オレゴン州グランツ・パス警察は、カーティス W.クロフトという男が裏庭で大麻を不法栽培しているという情報を得た。警察がグーグルアースを確認したところ、4カ月前に撮影された衛星画像に、クロフトの敷地内に整然と育つ大麻が確かに写っていた。警察はクロフトの自宅に踏み込み、94本の大麻を押収した。

2018年にはブラジルのアマパ州の警察が、リアルタイムの衛星画像を用いて、森林が伐採されている場所を発見した。警察が現場に到着すると、現地では木炭が違法に生産されており、8名が逮捕された。

中国政府は、新疆ウイグル自治区の再教育施設を「職業訓練学校」だとして、その存在を否定、または軽視している。だが、人権擁護活動家たちは衛星画像を用いて、「学校」の多くが監視塔と有刺鉄線で囲まれていることを示した。

商用衛星画像は、年々解像度が向上し、撮影頻度も増加している。2008年には、150基の地球観測衛星が地球周回軌道上にあったが、現在では768基が投入されている。人工衛星企業は24時間体制のリアルタイム監視サービスは提供していないが、大げさな宣伝文句を信じるなら近いことをしているようだ。衛星画像のイノベーションは、(他の国々は言うまでもなく)米国政府による衛星画像技術の規制能力を上回っていると、プライバシー擁護派は警告する。現時点でより厳しい制限を課さない限り、広告会社から不倫を疑うパートナー、テロ組織にいたるまで、かつては政府の諜報機関のみが活用できたツールを誰もが使えるようになるだろうと、プライバシー擁護派たちは言う。つまり、誰もが他の誰かを常に監視できる世の中になるかもしれないのだ。

高解像度化のすすむ衛星画像

商用衛星画像ビジネスはいま、活気づいている。ただ、車を確認するには十分な解像度はあるが、メーカーやモデル名を見分けられるほどではない。農作物の健康管理をするには十分な頻度だが、近所の人の出入りを監視できるほどではない。こうした匿名性の確保は、考慮された上でのことだ。米国連邦規則は、商業衛星によって撮影された画像の地上解像度を25センチメートル、つまり靴の長さ程度に制限している(解像度の高さは機密だが、軍のスパイ衛星は、はるかに高解像度の画像を入手できる)。

米国海洋大気庁(NOAA:National Oceanic and Atmospheric Administration)が地上解像度を50センチメートルから25センチメートルへ緩和した2014年以来、ほとんどの顧客が解像度に満足してきた。投資家は石油貯蔵タンクにかかる影から浮き屋根の高さを測って油量を予測でき、農家は洪水を監視して作物を保護できる。人権団体はミャンマーやシリアからの難民の流れを追跡している。

だが、衛星画像の解像度は向上し続けており、投資家や企業はこうした画像を必然的に利用するようになるだろう。画像処理会社のプラネット・ラボ(Planet Labs)は、現在140基の衛星を保持し、地球上のあらゆる場所を1日に1回通過できる体制を敷いている。1997年に最初の商用地球観測衛星を打ち上げたマクサー(Maxar、以前の社名はデジタルグローブ(DigitalGlobe))は、上空を1日に15回通過できる衛星群(コンステレーション)を構築しているところだ。ブラックスカイ・グローバル(BlackSky Global)は、1日70回までほとんどの主要都市の上空を通過できるという。個人のあらゆる動きを追跡するには十分ではないかもしれないが、ある人物の車が普段は何時ごろに敷地内に駐車してあるのかを見るには十分だ。

宇宙からのライブ映像を提供している企業すらある。2014年には早くも、スカイボックス(SkyBox)というシリコンバレーのスタートアップ企業(テラ・ベラ(Terra Bella)に改名後、グーグルに買収され、その後プラネット・ラボに売却された)が、最長90秒の高解像度映像の宣伝を始めた。アースナウ(EarthNow)は、「遅延時間がたったの約1秒」の「継続的なリアルタイム」監視を提供する予定だとしているが、誇張しているという意見もある。スナップチャット(Snapcha)やウェザー・チャンネル(Weather Channel)といった企業向けにカスタム地図を作成するマップボックス(Mapbox)のチャーリー・ロイドは、誰もが「ライブ地図」に近づけようとしていると語る。だが、明日や明後日に実現するわけではない。「24時間体制で高解像度の地球映像を得られる日は、かなり先のことになるでしょう」。

地球観測において最も急速に進歩した技術として、従来の写真ではなく、可視スペクトル領域外にある波長の電磁波を捉えるレーダー検出やハイパースペクトル画像がある。可視光では、雲によって地面が隠れてしまうが、発射した電波が観測対象物に反射して衛星に戻ってきた信号をとらえる合成開口レーダー(SAR)を用いることで、雲を透過 …

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