グーグル、フェイスブック、アマゾンがHPから学ぶべき4つの教訓
ヒューレット・バッカードのマネジメントの歴史に関する新著には、現在の巨大テック企業が学べる教訓が書かれている。 by Peter Burrows2016.12.02
人生がそうであるように、どんなビジネスも永遠には続かない。アマゾンやアップル、グーグル、フェイスブックといったハイテクの神々が近年成し遂げた成長も例外ではない。では、成長が必然的に鈍化したとき、企業はどうやって、できるだけ巧みに減速させればいいのだろうか?
ヒューレット・パッカードの歴史はよい教訓になる。HPの元役員で『ヒューレット・パッカードになる:なぜ戦略的リーダーシップは重要なのか』という新刊書籍を共同執筆したウェブ・マキニーは「HPは実質的に価値があった1990年代に留まったままです。企業には固有の長所がなければならないのです」という。
近年、HPが経営の研究対象にならなかったのは無理もない。無分別な買収、セックスとスパイ行為のスキャンダル、取締役会のドダバタといった一連の凡ミスのせいで、HPは過去18年間にわたりテック業界最悪の業績に陥った。2015年に、メグ・ホイットマン最高経営責任者 (CEO)は、HPの過去の栄光を取り戻すことをついに諦め、会社を2つに分割した。 しかし、それ以前のHPは、現在では想像もできないような持続的な成長を続けてきた。ビル・ヒューレットとデイブ・パッカードが1938年にパロアルトのガレージに店舗を開設してからの最初の20年間は別としても、HPは1958年から1998年までの40年間、毎年20%以上の成長を続けていたのだ。
ヒューレット・パッカードはシリコンバレーのスタートアップ企業のひな形だ。利益配当や学費援助、個室、自由に使える消耗品など、経営の革新を手段として、トップダウン型のビジョナリーな天才と、会社に集まる技術的才能を生み出すボトムアップのカルチャーを融合させ、会社を作った。いわゆる「HPウェイ」(従業員はよい仕事をすることを望んでおり、もし上位の管理職が従業員を信頼し、ベストを発揮できるようなお膳立てをすればその通りになるという哲学)のおかげで、HPは革新的で信頼できる適正価格の製品を生み出し、常に市場を支配してきた。最初に登場したオシレーターや発信器などのマニア向けの工学ツールに続いて、1970年代にはハンドヘルド計算機、1980年代にはマイコン、そしてPCやプリンターなどのコンシューマー製品を発売するに至った。
現在では、ほとんどのテック企業がHPの成功モデルをある程度導入している。しかし、HPが衰退した理由はあまり明白ではない。マッキニーと共著者であるコンサルタントのフィリップ・E・メザ、スタンフォード大学のロバート・A・バーグルマン教授は、HPは、もっとソフトで屈辱的ではない形で着地できたかもしれない4つのキーとなる手段について言及している。これらは現在のシリコンバレーに向けた4つの大きな教訓になる。
1.いつ縮小するかを知る
急成長している企業は、たとえそうすることで、個々のビジネスが成長よりよいチャンスをつかめるとしても、うまくいっている時期に分社化を検討することはまずない。HPは1999年頃に、この間違いを回避する寸前までいったことがある。消費者向けと法人向けにPCやプリンターの販売額を増やしてきた数年間の後、それらの製品の販売額が鈍化しはじめた。それに活を入れるような新しいビジネスの兆しはなく、ルイス・プラットCEOは、HPは経営するにはあまりにも巨大で複雑になりすぎてしまったのでないかと悩んでいた。プラットCEOは、HPとウォルマートは大量解雇や経営の混乱、そして恒久的な低迷を余儀なくされるような痛みを伴う「失速点」にぶつかることなく、年間400億ドルの売上高を越えた唯一の会社であることを示す調査を依頼した。プラットCEOと契約したコンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーは、HPをより小さく身軽なパーツへと分社化する3つの手段を勧めた。
HPの取締役会は、多くの間違った理由から、その勧めを拒絶した、とマッキニーはいう。ヒューレッ …
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