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ニューラル・ネットが描き出した、ピカソ「青の時代」幻の作品
Courtesy of the researchers
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This Picasso painting had never been seen before. Until a neural network painted it.

ニューラル・ネットが描き出した、ピカソ「青の時代」幻の作品

別の絵で隠されてしまっていたピカソの「青の時代」の作品をニューラル・ネットワークで復元することに初めて成功した。失われた絵画をより鮮明に復元する方法として、美術史家の仕事を大きく変える可能性を秘めた手法だ。 by Emerging Technology from the arXiv2019.09.24

『老いたギター弾き』は、「青の時代」に描かれたピカソの代表的な絵画だ。1903~1904年、若かりし頃のピカソが極貧のパリ時代に描いたもので、当時味わっていた内的苦痛と孤独感を、青色を使って表現した。

だが、「老いたギター弾き」にはもうひとつ、興味深い点がある。絵の下に、女性の顔が描かれているのがうっすらと見えるというのだ。このことは、以前から美術史家が指摘していた。1998年、絵が保管されているシカゴ美術館の保存修復師は、レントゲンと赤外線を使って絵の下に何が隠されているのかを調査した。

すると、老いたギター弾きとは全く別の絵が現れた。何かに腰かけて左腕を差し出している女性の姿が、そこにはあった。当時ピカソが仲間へ宛てて書いた手紙の中に、この絵のスケッチが描かれていたこともわかった。

この発見は、美術界の注目を浴びた。画家が自分の初期の作品の上に別の作品を描くことは珍しいことではない。特に、貧しさのあまりキャンバスが思うように手に入れられない頃は、1枚のキャンバスを使い回すのはよくあることだ。

新たに見つかった絵画は、青の時代にいかにピカソの作品、主題、思考が変化していったかを知るうえで貴重な洞察をもたらした。20世紀最大の巨匠とされる画家だけに、その重要性は計り知れない。

だが、美的視点から言えば、これまでに明らかになったことは、十分に満足できるものではなかった。赤外線とレントゲン画像ではかすかな輪郭しか写し出せず、使用された絵の具の量くらいは推定できても、色や画風まではわからない。そのため、失われた絵画をより鮮明に復元する方法を見つけ出すことは、専門家の大きな関心事だった。

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのアンソニー・ボラーチェドとジョージ・カンは、「ニューラル画風変換」と呼ばれるマシン・ビジョン手法を使って、失われたピカソの絵画をカラーで復元することに初めて成功した。これによって、青の時代の作品 …

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